本研究の学術的意義は、17世紀から18世紀にかけての社会変動に焦点を当て、その変動に対応するコメディ・オヴ・マナーズの展開と都市空間の変貌と間のダイナミックな相関関係を広範かつ詳細に明らかにできる点にある。17世紀後半から18世紀にかけてのイギリスではいわゆる「プライヴェタイゼーション」、すなわち市民階級の台頭による私生活化の進行が起こった歴史上特筆すべき時代であり、登場人物の欲望とマナーズの相克に焦点を当てるコメディ・オヴ・マナーズと都市空間の変貌を同時に研究することで、巨大都市ロンドンにおける屋内空間の役割にも迫ることができる。
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