研究課題/領域番号 |
19K00428
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
福士 久夫 中央大学, 人文科学研究所, 客員研究員 (80096164)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 生垣(「研究実績の概要」の①論文 / 浮浪者(同上①論文) / 囲い込み(同上①論文) / 私有地/財産(同上①論文) / アイルランド(同上②論文) / 移民(同上②論文) / 固定観念(同上②論文) / 表象(同上②論文) |
研究実績の概要 |
①「生垣、浮浪者、メルヴィルの『レッドバーン』」。本稿は中央大学人文科学研究所『人文研紀要』(第99号)への寄稿論文。2021年3月15日に提出。本稿はメルヴィルの小説第4作『レッドバーン』(1849)において、目につくほどに多数回用いられている「生垣(hedge)」という語とその関連諸語、及び同様に多数回用いられている「浮浪者(vagrant)」とその関連諸語(「生垣」も「浮浪者」もイングランドのいわゆる囲い込み運動とかかわりのある語である)に注目し、これらの諸語の使われ方を精査することによって、作者メルヴィルの本作に問題関心のあり様の剔抉を目的としている。この目的を果たすために、本稿は主として、上記2種類の語群に含まれる諸語が最も多数あらわれる章である第43章を詳細に検討している。 ②「アイルランド/アイルランド人/アイルランド人移民とハーマン・メルヴィル」。中央大学経済研究所『研究年報』(2021年度号)への寄稿論文。2021年3月31日提出。本稿は、メルヴィルがアイルランド/アイルランド人/アイルランド人移民をどう理解していたかを、具体的には、メルヴィルのアイルランド/アイルランド人/アイルランド人移民についての理解の範囲、深度、特徴点などを明らかにするために、論文の前半において、メルヴィルの小説第3作『マーディ』(1849)の第152章を検討し、論文の後半において、小説第4作『レッドバーン』(1849)の全巻を検討している。この2つを検討の対象とする理由は、この2つに、アイルランド/アイルランド人/アイルランド人移民にかかわる表象が、メルヴィルの全作品のなかで、もっとも集中的にあらわれるからである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
理由は2つあったと考えている。 1つには、コロナ禍が重大化し、中央大学図書館や東大駒場のアメ研の図書館にアプローチすることがほぼ不可能になり、新しく読んだり、読み直そうと考えていた本や雑誌論文が読めなくなり、当初想定していた通りに事が運ばなくなったことである。 2つには、1つ目の理由をうけて、3回にわたって読みたい、あるいは読み返したいと考えていた書物(すべて英書)を3回にわたって集中的に購入した(購入した書物は結果的に100冊を超えた)が、届いた本にひととおり目をとおして、重要な、あるいは注目すべき箇所をチェックするのに多大な時間を要したことである。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度においては、論文を5本書く予定である。具体的は、第1に、メルヴィルの『レッドバーン』についての論文、第2に、アイルランド人ないしアイルランド人移民をとおしてみたときのメルヴィルの大衆観についての論文、第3に、メルヴィルの『イスラエル・ポッター』についての論文、第4に、メルヴィルの『詐欺師』についての論文、最後に、メルヴィルの遺作『ビリー・バッド』をめぐる近年における批評動向を概括し、今後の『ビリー・バッド』研究を展望する論文である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、令和2年度において、必要な図書(英書)を集中的に購入したが、その際に、使用可能額を超過することをおそれて、できるかぎり禁欲的にふるまったことが主たる理由である。貴重な「次年度使用額 55,649円」については、4万円程度を、図書購入に充て、残りををメモリーや、プリンターのインクや用紙の購入などに充てる計画である。
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