研究課題/領域番号 |
19K00428
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
福士 久夫 中央大学, 人文科学研究所, 客員研究員 (80096164)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | アイルランド/アイルランド人表象 / メルヴィル / 「野蛮なアイルランド人」 / 『レッドバーン』 |
研究実績の概要 |
論文「メルヴィルの『レッドバーン』と「野蛮なアイルランド人」という句をめぐって(I)」を、中央大学人文科学研究所『人文研紀要』の2022年度号に向けて寄稿した。2022年3月14日に提出。本稿は続編(Ⅱ),(Ⅲ)によって完結の予定。 本稿は、メルヴィルの第4作『レッドバーン』に1度だけあらわれる「野蛮なアイルランド人(wild Irish)」という句の起源や来歴を求めて筆者がたどりついた、「野蛮なアイルランド人」という表現ないし類似の表現があらわれる諸文献及び関連諸文献を繙いて、玩味し学ぶ試みであり、また、そのことを通じて、『レッドバーン』という物語テキストにおいてメルヴィルが意図したかもしれないアイロニーや込めたかもしれないニュアンスを読み取ることを可能にしてくれるかもしれない、筆者がまだ気づいていない類の「歴史的連想」(メルヴィル)やアルージョンやコンテキストやアングルなどを発見しようとする試みである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
理由は2つである。1つは、コロナ禍が重大化し、中央大学図書館や東大駒場のアメ研図書館などにアプローチすることが憚られることになり、新しく読んだり、読み直そうと考えていた本や雑誌論文が読めなくなり、当初予定していた通りに事が運ばなくなったこと。2つには、1つ目の理由をうけて、読みたい、あるいは読み返したいと考えていた関連の英書を3回にわたって集中的に購入したが、届いた100冊になんなんとする数の本に目を通して、重要な、あるいは注目すべき箇所をチェックするのに多大な時間を要したこと。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度(2021年度)末に所定の手続きを踏んで研究期間を1年間延長していただき、本年度(2022年度)も研究期間に充てることが可能になった。この貴重な1年間を活用して、令和2年度の「研究実施状況報告書」の本項(「今後の研究の推進方策」)において、具体的に記した執筆予定の5本の論文の発表ないし原稿執筆に鋭意取り組みたい。この5本のうちで、第1の論文については、本報告書の「研究実績の概要」に記した論文によって発表を果たすことができた。続編の(Ⅱ)、(Ⅲ)については、草稿をあらかた書き上げてある。第2の論文については、長大な粗草稿が手元にある。第3、第4、第5論文については、準備中であるが、一番準備が進んでいるのが第5論文である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
生じた「次年度使用額」は570円というごく少額であり、被交付者としては、交付された研究費を首尾よく使い切ったと考えている。したがって、記するほどの使用計画はない。
|