本研究は、「バイオフィクション」とは何かという学術的「問い」への解を示すことを目的とし、とくにポストモダンの時代に書かれたモダニスト作家が対象となっている作品における特徴を明らかにすることを目指した。本研究の結果、「バイオフィクション」とは、主人公が実在する歴史上の人物である点は「伝記」と同じだが、フィクションを含むという点以外にも重要な相違点があることが明らかとなった。また、「バイオフィクション」の起源は19 世紀後半まで遡り、さらに、ポストモダンのバイオフィクションで、モダニスト作家が対象となっている作品では、その作家の小説技法や特徴の再現が試みられている場合が多いことが明らかになった。
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