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2023 年度 実施状況報告書

近代初期イングランドの法学院における文芸活動に関する文化史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K00435
研究機関立命館大学

研究代表者

竹村 はるみ  立命館大学, 文学部, 教授 (70299121)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
キーワード法学院 / シェイクスピア / 中傷詩 / 諷刺文学
研究実績の概要

本年度は、16世紀末期のロンドンで激化した誹謗中傷の風潮に着目し、それが法学院の文芸活動といかなる相関性にあったかという点を明らかにするための調査を行った。1580年代後半のマープレリット論争に始まった誹謗中傷合戦は、1590年代前半に論争への連座のかどで少年劇団が活動停止を余儀なくされたり、1599年に諷刺文学の出版を禁止する禁書令が出されたりと、度重なる当局の取り締まりがあったにもかかわらず、猛威を振るい続けることになる。諷刺のサブジャンルとして位置づけられる中傷詩の流行は、法学院と密接な関係があった。エリート特有のプライドとコンプレックスに発した競争意識が高く、長年に亘る閉鎖的な共同生活によって生み出される人間関係は複雑化しやすく、いかにも中傷詩が流行しそうな条件が揃っている点で、法学院は宮廷社会の雛形とも言える構造を有していたためである。本年度の研究では、法学院が関与した誹謗中傷の事案を参照しつつ、それが同時代の諷刺喜劇に与えた影響に着目し、シェイクスピアの『十二夜』と『ハムレット』の諷刺性が従来のシェイクスピア劇とは異なる攻撃的なユウェナリウス的諷刺の特性を強めている背景には、法学院文化の影響が顕著に見られることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

コロナ禍により、イギリスへの調査出張を実施できない時期が続いたため。また、コロナ禍が収束の兆しを見せた2023年度も、学部執行部の校務や別の刊行本の企画のために、やはり海外調査を実施できなかったため。

今後の研究の推進方策

法学院と商業劇場の双方向的な影響関係を精査すべく、法学院生との交流で知られる劇作家ベン・ジョンソンの諷刺喜劇を分析すると共に、ジョンソンとの競合がシェイクスピア劇に与えた影響を精査する。また、諷刺詩や歴史書の出版を取し締まる禁書令が公布された1599年に特に着目し、追従と中傷への危機感が強まったエリザベス朝末期の都市文化において法学院の文芸活動が果たした役割や意義を検証する。

次年度使用額が生じた理由

2020年度から2022年度まで、コロナ禍によりイギリスにおける調査出張を実施できない状況が続き、学会や研究会のオンライン開催も多かった。2023年度は事態が改善したものの、執行部の校務のため依然として海外出張は実施できない状況が続く。データベース等の国内で閲覧できる資料の活用を視野に入れて、研究を遂行する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] "Be Clamorous, and leap all civil bounds"!―『十二夜』とエリ ザベス朝中傷詩2024

    • 著者名/発表者名
      竹村はるみ
    • 雑誌名

      立命館英米文学

      巻: 32 ページ: 67-89

    • 査読あり
  • [学会発表] 「打たれた鹿は泣くがよい」―『ハムレット』と誹謗中傷の詩学」2023

    • 著者名/発表者名
      竹村はるみ
    • 学会等名
      関西シェイクスピア研究会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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