• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

差異の受容-ニュージーランド文学から見たキリスト教とマオリ宗教の弁証法的融合-

研究課題

研究課題/領域番号 19K00438
研究機関弘前大学

研究代表者

澤田 真一  弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (30250624)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードニュージーランド / マオリ文学 / キリスト教 / 多文化主義
研究実績の概要

研究初年度にニュージーランドに赴き、大学・図書館・博物館等で収集した資料を読み解き、査読論文「父なるものの埋葬-ウィティ・イヒマエラの『タンギ』再考-」を発表した。(日本ニュージーランド学会誌第27巻、2020年11月20日、pp.20-31)
ニュージーランドを代表するマオリ人作家ウィティ・イヒマエラの小説『タンギ』(1973)を取り上げ、物語の主人公タマ・マハナの30年後の姿を描いた『人間の縄』(2005)とイヒマエラの自伝『マオリ・ボーイ』(2014)を比較研究することで、従来とは異なる新たな物語の解釈を試みた。1970年代にマオリ作家たちが、白人主導の二文化主義の下でどのような制約下にあったかを明らかにし、出版を可能にするために物語の深層に真のテーマを秘めざるをえなかった状況について言及し、父の葬儀という表向きのプロットの象徴的な意味を明らかにした。
物語は従来白人批評家たちに解釈されてきたような政治色のない牧歌的な作品ではなく、ヨーロッパ系白人の入植、植民地化、同化政策に対する異議申し立てであり、今まで否定・抑圧されてきたマオリタンガの再生を宣言し、さらにその上にこそ築くことのできる多文化主義国家を希求するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り研究は進捗しており、資料の収集と分析を行い第1論文を出版した。最終年度には研究の総括となる第2論文を作成する予定である。
ただし、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ニュージーランドでは外国人の入国が現在禁止されており、研究2年度に予定していた訪問ができなかったことが悔やまれる。

今後の研究の推進方策

ニュージーランドの入国が許されれば、予算を用いての訪問・調査・資料収集を行う予定である。それがかなわなければ、国内にてできるかぎりの資料収集を行い、研究最終年度に今までの研究の総括となる第2論文を作成し、発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染防止のためニュージーランドでは外国人の入国が禁止されており、当初予定していた訪問・調査・資料収集が行えなかったために次年度使用額が生じたものである。
最終年度ではあるが、入国が許されれば昨年度に予定されていた訪問・調査・資料収集を行いたい。それが叶わぬ場合は、国内にて可能な限りの資料収集を行いたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 「父なるもの」の埋葬-ウィティ・イヒマエラの『タンギ』再考-2020

    • 著者名/発表者名
      澤田 真一
    • 雑誌名

      日本ニュージーランド学会誌

      巻: 27 ページ: 20-31

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi