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2021 年度 実施状況報告書

長い18世紀における原子論の影響による主体・共同体言説の多様化に関する学際的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K00441
研究機関福島大学

研究代表者

川田 潤  福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (70323186)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード原子論 / 長い18世紀 / 主体 / 共同体
研究実績の概要

本年度は、昨年までの研究の成果に基づき、原子論についての理論面について整理するとともに、原子論と主体・共同体について、17世紀後半から18世紀後半までの、具体的なテクスト分析も含めて、以下の3点から検討を加えた。
(1)18世紀初頭のトマス・クリーチによるルクレティウスの『事物の本性について』の完全な英語翻訳について検討を行った。とりわけ、異なる版に付された序論、推薦詩などに注目して、長い18世紀全体に与えた影響を、サブライムという概念に注目して、古典主義からロマン主義という流れの中で捉えた。
(2)原子論が各主体における私的な欲望の形成に果たした役割(具体的には蒐集欲という観点)と、その私的な欲望が公共の利益と結びつく可能性(具体的には、郷土愛という観点)について検討した。具体的には、マンデヴィル的な「私悪と公益」との結びつきの可能性について、複数のテクストにおいて確認をしたが、とりわけ、17世紀後半から18世紀前半のラルフ・ソーズビー、そして18世紀後半の、ジョゼフ・バンクスをめぐる言説の中に確認をした。
(3)商業的な社会が浸透する中で、道徳心と欲望との間の調整の際に原子論が果たした役割を、グローバルな蒐集ネットワークの中における私的/公的欲望の衝突と調整という観点から検討した。特に、シャフツベリー伯等から始まる道徳哲学の系譜を、商業社会をめぐるユートピア的な言説の中でどのように表現されているかなどに注目した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ流行に伴う研究資料のリサーチの遅れによるもの。

今後の研究の推進方策

研究資料の蒐集の遅れを補いつつ、本年度は理論面と具体的なテクスト分析を進める。特に、原子論と主体・共同体との結びつきについて、商業的社会の形成・浸透という観点から考察をより深める。

次年度使用額が生じた理由

研究調査のための旅費の使用ができなかったため。本年度は可能な限り国内外の調査を行い、難しい場合は、郵送等による資料蒐集を計画的に行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 英国における原子論の需要 : 古典の受容とサブライム2021

    • 著者名/発表者名
      川田潤
    • 雑誌名

      福島大学人間発達文化学類論集

      巻: 34 ページ: 71-83

    • オープンアクセス
  • [学会発表] ニコラス・ロウと名誉革命以降の文化戦争2022

    • 著者名/発表者名
      川田潤
    • 学会等名
      十八世紀英文学研究会(日本ジョンソン協会関西支部)

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公開日: 2022-12-28  

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