本研究は、(1) 精神性・道徳性重視のユートピア言説(研究)を、物質の重要性を認識することにより見直し、(2)「長い18世紀」という観点から、科学立国思想を、より現実的な科学と国家と主体の関係性の模索の過程として検討し、(3) 主体と共同体に関する理論基盤としての原子論の再評価、及び、その近代・現代的な意義を再考察した点において、学術的意義がある。原子論の観点から、「長い18世紀」におけるユートピア言説と主体と共同体の関係性の見直しを行うことで、21世紀現在における人間の精神性と肉体性の関係の見直し、文学/文化研究、人文学の役割・意義をめぐる問題を再検討した点で、社会的意義がある。
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