研究課題/領域番号 |
19K00444
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
久保 拓也 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (80303246)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アメリカ文学研究 / マーク・トウェイン研究 / アーカイブ / 男性性研究 |
研究実績の概要 |
令和4年度には、二度の研究発表を行い、当研究成果の一部を米国と日本で発表することができた。これらの口頭発表は早急に論文にまとめて新たに発表する。今年度は上記の成果発表に加え、米国の大学図書館における資料収集を再開することができた。それらの資料の精査により、19世紀から20世紀のアメリカ社会における男性性に関連する歴史的な資料や、男性性に伴う諸問題や身体性に関わる記録文書、また当時の文学作品に現れているそれらの表象などの考察など、中心としてきた課題の研究をさらに進めることができた。二度の研究発表は、19世紀後半から20世紀前半の代表的なアメリカ人作家であったマーク・トウェインとウィリアム・ ディーン・ハウエルズそして、彼らと深い関係にあった人物たちが残した、公私にわたる文書の考察が中心となった。一度目は2022年8月には米国で開催された国際学会(The Ninth International Conference on the State of Mark Twain Studies)におけるもので、現地を訪れての研究発表をおこなうことができた。発表内容は、これまで必要な注目を十分に集めてこなかったトウェインの兄、オリオン・クレメンズという人物について、トウェイン自身が保存していた彼からの手紙と、それに関して残されたトウェインの反応、加えてそのやり取りが与えた作品への影響から考察するものであった。さまざまな仮説が含まれているため、現在はそれらをより説得力と正当性のある論説にまとめている。またその学会で扱いきれなかった更なる考察を含む口頭発表を、日本アメリカ文学会中部支部例会において行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度までの研究進捗には、終息しきらなかったコロナ禍の影響があり過去2年間の遅れを完全に取り戻すことができなかった。入手済みの資料の精査等、基本的な研究作業は進展しているものの、新規の資料の入手、国内外の研究者との打ち合わせ、そして学会への参加など、オンラインでは完全に補いきれなかった多くの活動について遅れが生じ、20年度、21年度は予定通りの予算執行は難しかった。そのため当補助金給付による研究期間はさらに1年間延長を申請することとした。幸いにも海外大学図書館での資料収集や、研究発表のための渡航が22年度からは可能となり研究を進めるための環境は元に戻った。2年間に渡って生じた遅れを補う以上の積極的な作業を行う。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研究論文の準備を進めるとともに、出来るだけ早い時期に米国のカリフォルニア大学を訪れ、資料の収集と分析、およぶ現地の研究者との対面による研究打ち合わせ等を行う。補助金をより 有益な形で使用できるように現研究期間を1年間再延長したので、最終的な成果を発表できるように準備を進めるとともに、準備中の未邦訳アメリカ文学作品の翻訳出版が実現するように試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
米国大学図書館での資料収集、そして研究打合せの為の国外旅費のために期間を延長して補助金をより有効に使用したいと考えました。
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