研究課題/領域番号 |
19K00445
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
山内 功一郎 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (20313918)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 詩 / アメリカ文学 |
研究実績の概要 |
研究計画の初年度にあたる2019年度には、詩誌『現代詩手帖』に「五つの展望台」を発表することができた。これは2019年に日本で発表された海外詩の翻訳をめぐる分析で構成された論考である。その他に、詩誌『みらいらん』に発表した田村隆一論や、『週刊読書人』に発表した野村喜和夫論も挙げることができる。これらの場において展開した考察の成果は、アメリカ詩をめぐる本研究課題に取り組む上で、直接・間接を問わず効果的に活用できることが予想される。 研究発表としては、7月に静岡大学浜松キャンパスで文理の枠組みを超えて開催された「第13回超領域研究会」で講演を行ったことを挙げることができる。これは今年度より第4期静岡大学研究フェローに選出されたことを機に行った講演である。講演者として現在においてアメリカ詩を読む意味について考察したことは、本研究課題の本来的な目的を確認する上でも、極めて有意義だった。 なお6月には、ソルボンヌ大学で催されたアメリカの詩人ロバート・ダンカン (Robert Duncan, 1919-88)をめぐるシンポジウムを聴講する機会を得た。同シンポジウムでは、基調講演を務めたマイケル・パーマー氏を始めとする第一線の詩人・研究者の知遇を得て、研究上の相互協力を結べる体制を整えることができた。また2020年2月に詩人の吉増剛造氏を静岡大学に招聘し、講演を行っていただくことができた。同講演ではアメリカの詩人による実践を吉増氏がどう吸収し解釈したかを確認することができた。 総じて2019年度には、研究課題「オブジェクティヴィズムの機能:アメリカ詩人パーマーの作品における「対話」の分析」を遂行するための土台作りを行うことができたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
理由は、当初予想していた以上に多角的な視点から本研究課題に取り組む契機を得たことである。とりわけマイケル・パーマー氏や 吉増剛造氏等の実作者による創作の在り方を確認できたことは、今後の進展においても有効に作用することが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
当初はアメリカにおける現地調査を実施にする予定であったが、コロナ禍の影響下にある社会状況を鑑みて、ウェブ上のアーカイブやデータの利用を選択肢に入れる。また日本はもとよりアメリカ在住の詩人たちや研究者たちへのインタビューが必要となった場合には、動画通信ソフト等を活用して行う。その場合には、特にアメリカにはパーマーのオブジェクティヴィズム的な実践を高く評価する研究者や批評家たちが在住しているので、彼らから情報を得る。 コロナ禍が収まり海外への渡航が可能となった場合には、有力な英米詩研究者が所属するアメリカの大学を始めとする公的機関の図書館・アーカイヴでリサーチを実施する。そして帰国後に収集資料の整理を行う。ただし海外渡航が困難でも、上述のように十分に安全面に配慮した環境下で研究を進めることが可能であると予想している。
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