研究課題/領域番号 |
19K00450
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岡本 太助 九州大学, 言語文化研究院, 准教授 (90523176)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アメリカ演劇 / 家族 / 歴史的変遷 / 文化的多様性 |
研究実績の概要 |
本研究課題の2年目にあたる令和2年度には、前年度に収集したアメリカ演劇史およびアメリカにおける家族表象の変遷に関する文献を精査し、具体的に取りあげるべき作品および事象を絞り込み、次年度以降の研究のための準備を行った。また、スーザン=ロリ・パークスを中心に、具体的な作品に関する研究発表も継続的に行い、さらに過去の研究発表の内容を論文として発表するなど、随時研究成果を公開するよう努めた。 具体的な研究活動としては、前年度に行った複数回の研究発表を「ブロードウェイ・ミュージカルにおける人種とコミュニティ」と題する論文にまとめ、『九州英文学研究』第37号に慫慂論文として投稿し掲載された。本論文では、家族や地域のコミュニティ形成のプロセスを、ミュージカルにおけるアンサンブルの効果と結びつけ論じた。また、日本アメリカ文学会関西支部フォーラムにパネリストとして参加し、「構造化されるジェンダースケープと女性嫌悪のディストピア」と題する報告を行い、他のパネリストおよび参加者とのディスカッションを通して研究に関する情報交換を行った。 これらに加え、令和2年度に予定した研究発表2件が新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期となったが、それらの発表においても、アメリカ演劇における家族やコミュニティの表象について検証を進め、特に演劇の持つ政治的意義について詳しく論じる予定であった。これらの延期となった研究発表についても、令和2年度に行った予備的研究を踏まえて、令和3年度にあらためて実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画に沿って文献調査を進め、日本アメリカ演劇学会および日本英文学会九州支部大会での研究発表の準備を行っていたが、上述の通り、コロナ禍により大会の開催が延期となった。また学内の研究会についてもおおむね開催中止または規模を縮小しての開催となったため、研究成果を発表する場が限定されることとなった。そのため、当初計画にあった研究活動を一部次年度に持ち越さざるを得なくなり、課題研究の進捗に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年8月に、延期となっていた日本アメリカ演劇学会の大会(オンライン開催)において「アメリカ演劇における家政学」(仮題)というテーマで発表を行う予定である。同10月には同じく延期となっていた日本英文学会九州支部大会シンポジウムにおいて「分断の時代の連帯――アメリカ演劇における逆説」と題する報告を行う。さらに同月には日本アメリカ文学会全国大会シンポジウムにおいて、デモクラシーの逆説という観点からアメリカ演劇に関する報告を行うことが決定している。これらに加え、学内学会等でも口頭発表を積極的に行い、それらの成果を順次論文にまとめ発表する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度には、参加予定であった学会等がことごとく中止・延期となり、参加に係る旅費として見込んでいた額が未使用となった。また計画していた講師の招聘が取りやめとなり、海外出張も不可能であったため、それらの経費についても未使用となった。 次年度使用額と翌年度請求額を合わせた金額は、延期となっていた学会等に参加するための旅費に充て、また研究に必要な資料等の購入のために用いる。令和3年度に、海外より講師を招いたり、あるいはこちらが国外に赴き文献調査やインタビュー等を行える状況となるかどうかは不透明であるので、それらをオンラインで実施する可能性も視野に入れ、必要経費を上記金額の使途に含めるものとする。
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