研究課題/領域番号 |
19K00452
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
田邉 千景 学習院大学, 文学部, 教授 (10316812)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アメリカ文学 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトの意義は、ルイザ・メイ・オルコットとヘンリー・ジェイムズの影響関係を分析することで、アメリカ感傷/家庭小説が、アメリカ近代リアリズム小説の形成にどのような影響を与えたのかを明らかにすることにある。驚くほど類似点の多いこの二作家の作品を、単なる影響関係として片付けるのではなく、アメリカの感傷/家庭小説が、アメリカ近代リアリズム小説におけるヒロインの近代的自我形成に与えた影響を明らかにし、アメリカ文学史のミッシングリンクといえる感傷/家庭小説から近代リアリズム小説への展開を解明することが本研究の目的である。 本目的を達成するため、本年度はまず、日本国内で閲覧可能なオルコットとジェイムズに関する資料の閲覧・分析から開始した。それと並行して、夏期にオルコットやジェイムズ研究に重要な意味を持つ米国ニューイングランド地方への研究調査を実施した。ハーバード大学図書館においてオルコットやジェイムズの書簡や日記を閲覧した。また、日本では閲覧不可能な、当時、二人が読んでいたであろう19世紀の雑誌や新聞を閲覧した。ボストン私立図書館においてもリサーチを実施し、同様に19世紀の資料の閲覧・収集を行った。 帰国後は、収集した資料の解析を行うとともに、それに基づいて、ジェイムズが読んだことが明らかとなっているオルコットの初期の作品の分析、並びに、ジェイムズの作品の中でも、感傷/家庭小説的プロットをもった作品の分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
夏期の米国資料調査に赴いた時期と、ハーバード図書館の一部の改装時期が重なっていたため、十分な資料調査ができなかった。その間、他の図書館で資料調査が十分に出来、研究の裾野が広がったとはいえ、若干の進捗状況の遅れは否めない。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に収集した資料の分析を引き続き継続するとともに、米国ニューイングランド地方への資料調査を実施して、オルコットやジェイムズの書簡や日記の資料収集を行う。特に、昨年度、改装時期と資料調査の時期が重なっていたため、十分な調査がかなわなかったハーバード大学ホートン図書館での資料調査に時間を割く予定である。完全に改修がなった後の秋以降に実施する予定である。その間、インターネット上で閲覧可能になった新しい資料の調査・収集も並行して行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
米国ニューイングランド地方への資料調査が、本プロジェクトの根本資料を所蔵する図書館の本格的改修工事のために、予定の目的を達成できなかったため、資料調査を短くしたため。差額は繰り越して、改修終了後の本年度秋以降に改めて資料調査を実施する予定である。
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