研究課題/領域番号 |
19K00453
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
辺見 葉子 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 教授 (40245428)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | J. R. R. トールキン |
研究実績の概要 |
2020年度は、新型コロナウィルス感染拡大のため英国への渡航が叶わず、英国オックスフォード大学ボドリアン図書館所蔵のトールキンの初期学術論文の草稿原稿調査は、一切出来なかった。また、大学でのオンライン授業への転換に伴う準備に膨大な時間を要したため、研究に割く時間がほとんどない状態が続いた。しかし、前回のボドリアンでの調査の際に写真撮影を許可された'English and Welsh'のマニュスクリプトの画像資料の精査は、日本にいながら続けられる研究であるため、この研究を遂行するのに必要な環境を整えるべく、映像処理能力や容量、画像が見やすい大きなモニターという条件を備えた新しいパソコンを購入し、日本に留まりながら研究を続行する環境が快適なものになった。 一方、海外での研究者との直接交流は出来なかったものの、アメリカのトールキン研究者の研究会がオンラインで月一回Zoomで開催されるようになり(通常は夏に年一回だった)、これに参加することによって、情報の共有・交流は思いがけず充実し実りあるものとなった。 本研究と関係のある学会活動としては、日本ケルト学会全国研究大会(Zoom開催)において、「Tolkienの『不死の楽園』再考」と題した口頭発表を行った。また、日本ケルト学会の学会誌Celtic Forumに、「トールキンとオドネル・レクチャー」を投稿掲載した(査読あり)。 'English and Welsh'の手稿調査に基づくexpanded editionの出版については、2021年夏までに出版原稿の提出を予定していたが、コロナ禍の様々な状況から原稿執筆もままならず、HarperCollins社には出版延期の許可をもらった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
最大の理由は、新型コロナウィルス感染拡大のため英国への渡航が叶わず、英国オックスフォード大学ボドリアン図書館所蔵のトールキンの草稿原稿調査を一切進展できなかったことにある。またコロナ禍で学務が急増し、日本で出来る研究にも思うように時間を割けなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、夏に英国への渡航、ボドリアンでの調査は難しいと思われるが、年度末(来年春)には可能であれば、滞ってしまったボドリアンでの滞在調査に最大限の時間を費やしたい。もしなお現地調査が難しい状況である場合には、ボドリアンのアーカイヴィストおよびマニュスクリプトの権利を持つトールキン在団との交渉を行い、画像データを一部でも提供してもらえる手立てを模索する。 また、すでに主要な画像データが手元にある'English and Welsh'のexpanded editionの出版に向けての原稿執筆は、2021年度大いに進展させたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、英国オックスフォード大学ボドリアン図書館所蔵のトールキンの初期学術草稿原稿調査を目的とするが、2020年度は、新型コロナウィルス感染拡大のため英国への渡航が叶わず、旅費として申請した額は、日本での研究環境整備のためのパソコン購入に一部使用したのみとなった。コロナ禍の状況により見通しは不確定であるが、2021年度末にはボドリアン図書館での滞在調査を実現させたい。また2021年度には、トールキンの'English and Welsh'のexpanded editionの出版原稿のネイティヴチェックにかかる費用にも資金を使用したい。
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