20世紀モダニズム詩の推進者Poundが「一新せよ」という言葉に象徴される詩革新運動を率い、大きなうねりを導いたことはよく知られる。しかし、Pound直前の詩人たちも、それぞれ「一新せよ」を実践していた。それはPoundのごとく追随者を巻き込んだ運動ではなかった。孤軍奮闘にすぎなかった。そのため文学史でも異端者扱いだった。けれども、アメリカ詩の「沈滞」期といわれる19世紀後期から20世紀初頭は、「詩人たちの黄昏(衰退期)」でもなく、「詩のスランプ」時代でもなく、孤立無援の試行錯誤の時代だったといえる。同時にそれは、Poundのような行動力や統率力を待たなければならなかった時代だったともいえる。
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