研究課題/領域番号 |
19K00465
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桑田 光平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80570639)
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研究分担者 |
カペル マチュー 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70896414)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フランス語圏文学 |
研究実績の概要 |
今年度は、、世界文学ならびに文学社会学の観点から、小説『割れたグラス』を中心にコンゴ共和国出身の作家アラン・マバンクの作品に関する研究を行い、グローバリゼーション化における現代フランス語圏文学のひとつの姿をあらわす作品として分析した論文を発表した。同時に、昨年度と今年度のフランス語圏文学に関する最新のレポートを二本、発表することができた。この二本のレポートは主に、フランス語圏における主要文学賞の受賞作品に関する報告であるが、本研究課題の観点から、これまでの文学史的な系譜とどのようにつながりをもっているのかを分析しながら報告を行った。とりわけ、パリを舞台とした都市小説の系譜について分析を行った。 また、刊行は2022年度になるが、現代詩人ジャック・デュパンに関する論考を執筆した。ポスト・シュルレアリスムの作家であるデュパンが、芸術家ジャコメッティからいかに芸術の制作原理を学んだかを問題にした論考である。デュパンが現代アメリカの作家ポール・オースターに与えた影響についても同時に調査を行い、作品の分析を行うことができた。 その他にも、フィリップ・ジャコテ、パスカル・キニャール、ロラン・バルトに関する研究や翻訳などを進められた。ジャコテに関しては、そのリルケからの影響や、翻訳という営みの重要性について研究を進め、キニャールとバルトはいずれも作品や講義録を翻訳することで、現代文学における彼らの意義についての見識を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染の世界的なパンデミック状況に収束が見られず、当初の目的であった海外での調査やインタビューが実現できていない。zoom等のオンラインでのインタビューやコンタクトなどより柔軟な対応をとりながら、来年度は研究を実施していく必要がある。現地での調査ができなかった分、作品読解に時間をあてることができ、重要な何人かの作家の個別研究を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
できれば作家本人に会ってのインタビューができればよいが、コロナ禍の現状を考えて、メールやzoom等のオンラインでのインタビューも積極的に導入すべきだろう。今後はより包括的なまとめの作業に入っていく必要がある。具体的には、これまでの個別作家研究をより広い視点から歴史的に位置づけ、現代文学史の構築へと収斂させていく必要があるだろう。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による海外出張の未執行のため。次年度は複数回の海外出張を計画している。
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