研究課題/領域番号 |
19K00469
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
中澤 敦夫 富山大学, 人文学部, 名誉教授 (90242388)
|
研究分担者 |
宮野 裕 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (50312327)
岡本 崇男 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 名誉教授 (90169152)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 年代記研究 / ロシア中世史 / キエフ・ルーシ / 年代記編集史 |
研究実績の概要 |
2021年度(令和3年)は、前年度に引き続き代表者(中澤)、分担者(宮野)、協力者(今村、岸)がそれぞれの個別テーマについて研究を行った。その結果として、中澤は、7年をかけて完成した『イパーチイ年代記』(『ガーリチ・ヴォルィニ年代記』部分)の編集史研究を行い、『富山大学人文学部紀要』(75号,2021年8月)に「『ガーリチ・ヴォルィニ年代記』の編集史について」の論文を発表した。また、宮野裕は、年代記に関係する初期ノヴゴロド文献の研究を行い、「中世ロシアの教会問答集「キリクの質問」1」『岐阜聖徳学園大学紀要』第61集(2022)を発表した。 共同研究としては、キエフ・ルーシ時代の年代記の新しい分野の研究として、『ノヴゴロド第一年代記(新編集版)』の訳読と注釈を共同で取り組むことを決め、2021年4月から講読研究会をスタートさせた。その最初の成果として、『富山大学人文学部紀要』(76号,2022年2月)に、「『ノヴゴロド第一年代記(新編集版)』翻訳と注釈(1)」の論文を発表した。この連載は、今後も継続する予定である。 さらに、2021年度の研究を総括するために、2022年2月12日(土)に、オンライン形式で研究会を開催し、それぞれのテーマについて以下のような報告を行った。 1.中澤敦夫 「『ノヴゴロド第一年代記(新編集版)』冒頭部分の編集史について」、2.岡本崇男 「『ノヴゴロド第一年代記』における分詞と動作主体の文法的不一致について」、3.宮野裕 「中世ロシアにおける『専制君主(サモジェルジェツ)』観念」、4.岸慎一郎 「ルーシの敵ヴァリャーギ」。 研究会では、予定していた年代記研究に関する、国際シンポジウムが開催できなかったことから、科研の期間を一年延長する手続きを行うことを決め、今後の研究計画について話し合った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年(令和3年)度は、引き続くコロナ・ウイルス禍のために、本来最終年度である2021年度に行う予定の、外国から研究者を招いてのシンポジウムを開催することができなかった。その結果、代表者、分担者、協力者は基本的に個別のテーマについて研究を行い、2022年2月に開催したオンライン研究会で、成果を発表するかたちをとらざるを得なかった。そのため、研究会での話し合いの結果、科研期間の一年延長の申請をすることを決め、2022年3月に申請を行い、承認された。
|
今後の研究の推進方策 |
期間延長が承認された2022年度については、科研最終年度となることから、これまで行ってきた年代記研究をまとめる方向で共同研究に取り組みたい。具体的には、現在進めている『ノヴゴロド第一年代記』の最初期の年代の記事について、『原初年代記』の編集と関係させながら、その編集史について研究し、論文を執筆する予定である。 予定していた最終年度の国際研究集会(シンポジウム)を開催については、コロナ・ウイルス禍が続いており、さらにロシアによるウクライナ侵攻という事態が重なったために、開催の有無や、日程等を現時点で予定することは難しい。時期を見ながら、代替のオンライン研究会等の可能性についても検討していきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ・ウイルス禍のために最終年度に予定してシンポジウムの開催ができなかったことから、本年2021年度には、予定していた旅費等の支出ができず、次年度に繰り越した。2022年度には、オンライン形式も含めてシンポジウムの開催を計画している。
|