研究課題/領域番号 |
19K00470
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
大原 志麻 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (80515411)
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研究分担者 |
安永 愛 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (10313917)
今野 喜和人 静岡大学, 人文社会科学部, 名誉教授 (70195915)
花方 寿行 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (70334951)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 動物表象 / ヴァレリー / 先住民 / フランス文学 / ラテンアメリカ文学 / ヨーロッパ史 / 北川民次 / アダプテーション |
研究実績の概要 |
動物表象についてフランス、スペイン、ラテンアメリカ、日本といった地域から文学、歴史、哲学からアプローチし、包括的理解を試みる本研究においては、今年度前半はヨーロッパの動物表象について研究が進められた。フランスにおける動物表象について、研究分担者によりパスカルからデリダへの人間と動物との力動的な関係性を踏まえ、第二次世界大戦期フランスを代表するポール・ヴァレリーの動物表象を主眼とした「天使と禽獣のあいだ : ポール・ヴァレリーにおける馬・蛇・鳥のイメージをめぐって」『人文論集』71-1を7月に刊行した。 今年度後半は、2月と3月に本基盤研究とメキシコ日本芸術文化研究常設セミナーとの共催で国際ウェビナーを開催した。2月16日に、テレサ・ファベラ(国立芸術文学院国立造形芸術研究資料情報センター研究員)による「画家シンザブロウ・タケダ:オアハカの素晴らしい動物たちと独特の美的解釈」と研究分担者により「シロ・アレグリーア『飢えた犬たち』における犬と先住民」の二つの発表から、中米の動物表象の図像及び、南米の社会構造における先住民がどのような動物表象をあてはめられているかについて理解を深めた。 3月7日には、「北川民次のバッタの表象」について、ラウラ・ゴンサレス・イ・マトゥテ(国立芸術文学院国立造形芸術研究資料情報センター常任研究員)による発表を通して、メキシコと日本で活躍した北川民次のバッタの表象を通して、動物表象のアダプテーションについて認識を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度前半においてはフランス文学における動物表象についての論文が刊行された。また後半についてはメキシコとの共催でウェビナーを開催し、非常に多くの参加者があったことから、ラテンアメリカと日本の動物表象について幅広い議論を行うことができた。またこれらの2月3月のウェビナーについては、既に研究代表者と発表者により論考を発表する準備ができており、今後の研究活動に向けての一定の準備を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度については前年度のメキシコとの動物表象国際ウェビナーでの発表内容を研究代表者と分担者により3本の論文として刊行する準備が既にできている。2021年度後半については、これまで進めてきたヨーロッパ・ラテンアメリカの動物表象研究をオンライン・シンポジウムを通して、ヨーロッパ文化のベースにあるアジア及び古代エジプト文明の動物表象と接続し、どのような変容を遂げたか、あた普遍性があるかについての比較研究を進める予定である。また児童文学における動物表象についても外部の研究者を招聘してオンラインセミナーを開催する予定である。 2022年度は6月の比較文学会大会において、スペイン、フランス、ラテンアメリカ、日本の動物表象についてそれぞれ個別発表を行う。また静岡大学公開講座を開催し、一般向けにヨーロッパ(スペイン・フランス)、ラテンアメリカ、日本の動物研究をアウトプットする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症によるパンデミックが長引いたことにより、それぞれの研究フィールドであるヨーロッパ及びラテンアメリカでの調査ができなかったため、国内での研究会もしくはオンラインでの国際集会開催及び動物表象調査に関する資料代として次年度使用する。
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