地域に固有の言語で、地域や民族のアイデンティティを主題とする豊かな文学が存在するにもかかわらず、これまで日本においてブルターニュ地方の文学はほとんど研究されてこなかった。本研究の成果は、19世紀後半から両大戦間期までの期間に民族運動に生涯を捧げたブルターニュ出身の3人の民族主義文学者ジャン=ピエール・カロク(筆名ブレイモール)、カミーユ・ル・メルシエ・デルム、ロパルス・エモンの作品分析や、民族運動と作品との影響関係の考察を通して、これまで知られることのなったブルターニュ地方の民族ナショナリズムと文芸運動の関係を解明し、この時代のブルターニュの文学の輪郭や特徴を明らかにしたことである。
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