本プロジェクトは、ちょうどCoVidヴィルスの蔓延と重なり、遂行に障害を被ったが、他方、病の流行を機縁として、不易なるものすなわち「古典」を考え直す機運の社会的高まりが実感されるなかで、研究がより深まった面もある。こうした社会的要請を単なる一過性の流行現象としてではなく、社会的共同性の基礎的価値を体現するものとして、「古典」を考え直す研究となり得たと自負する。近代文学研究においては、対象となる作品テクストの多様性が目まぐるしいが、それっらを単に拡散するに任せるのではなく、求心的な役割を担い続ける規範として、古典的テクストの果たす役割には再び注目が寄せられており、これに応じた研究となった。
|