初年度である2019年年度は、文学史家フォリクス・ヴォジチカによる文学史理論に関する論考(「ボヘミアにおける文学史の系譜――フェリクス・ヴォジチカの「文学史」論をめぐって」、井上暁子・三谷研爾・阿部賢一・藤田恭子・越野剛『東欧文学の多言語的トポス』水声社、2020年、69-105頁)を発表したほか、2020年1月には、カレル大学准教授ヤクプ・チェシュカ氏を招聘し、東京大学、チェコセンター東京にて連続講演会を開催した。同講演会では、ボフミル・フラバル、ミラン・クンデラという20世紀を代表する二人のチェコ作家の文学史的な位置付けにおける問題系(検閲と作家の関係、複数言語にまたがる執筆の問題)について理解を深め、多層的な文学史記述の可能性を検討することができた。以上、当初の予定通り、研究を遂行した。
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