本研究の学術的意義は、『デラシネ』(1897)や『霊感の丘』(1913)などのモーリス・バレスの代表的な小説を取り上げ、モニュメントの表象という従来の研究にはなかった観点から、これらの小説を分析して新たな解釈の可能性を示し、さらにバレスの作品におけるモニュメントの政治的、文学的機能の重要性を明らかにして、バレス研究の発展に寄与したことにある。さらに本研究は、モニュメント研究の文脈においても、文学つまり言語表現によるモニュメントの表象を検討した点で新規性があり、従来のモニュメント研究に一石を投じるものである。
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