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2023 年度 実施状況報告書

エルンスト・ブロッホにおける「世俗=世界的批評」―日独比較対照の視座からの研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K00496
研究機関立教大学

研究代表者

吉田 治代  立教大学, 文学部, 教授 (70460011)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
キーワードエルンスト・ブロッホ / エルンスト・トレルチ / 近現代ドイツ思想
研究実績の概要

1)コロナ禍などによりドイツ出張ができない状況が続いていたが、本課題に取り組んで以降初めてドイツで資料収集、研究者との意見交換を行なった。ルートヴィヒスハーフェンにあるエルンスト・ブロッホ資料館では、未見であった一次資料を調査した他、最新の二次資料についても情報収集を行なった。さらに当地で日独のブロッホ研究者との意見交換の機会を得た。他にも、若きブロッホに少なからぬ影響を与えた同世代の芸術家/思想家であるフーゴ・バルの資料館を訪れ、現地の研究者に、バル研究の現状などについてインタビューを行った。
2)昨年度に引き続き、ブロッホの自然法思想とエルンスト・トレルチとの関連について調査を進めるべく、今年度は、このテーマに関わるトレルチの一次文献、二次文献の収集と読解にさらに注力した。これにより、若きブロッホがその磁場にあった、第一次世界大戦前の「ハイデルベルク精神」の重要性を認識できた。さらに、昨年度は十分に扱えなかった、トレルチの『キリスト教の社会教説』がブロッホの『トーマス・ミュンツァー』に与えた影響を解明し、これを、2024年3月に新潟大学で行われた国際シンポジウムにてドイツ語で発表した。
3)2021年に設立された日本エルンスト・ブロッホ研究会による初めての対面研究会を、同代表中村徳仁氏(テュービンゲン大学/京都大学)の科研(「ヴァイマル期ドイツの終末論が与えた政治的影響にかんする思想史的研究のための基礎構築」、課題番号23K18625))との共催という形で、2024年3月に立教大学にて実施した(発表者は、小田智敏氏、秋田市太郎氏、石田喜嵩氏)。『希望の原理』、『唯物論問題』が主に論じられたが、本研究が取り組むブロッホの自然法論の解明という観点においても重要な示唆を得た。また、日本におけるブロッホ研究の推進という点で、画期的な一歩を踏み出すことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルス感染症の影響により、ドイツでの資料調査をようやく2023年度に初めて実施することができた。さらにもう一年の延長が認められたため、最終年度である2024年度にはまだ十分に取り組めていない、日独比較対照研究にも注力したい。

今後の研究の推進方策

2024年度には、9月にチューリヒ大学で開催される、「第三の国」をテーマとするシンポジウムに参加する。このテーマは初期から後年に至るまで一貫してブロッホに見出されるが、本科研において取り組んでいる彼の自然法論ともリンクさせて研究を進め、ドイツ語にて発表する。また、ブロッホと同時代の日本の思想における「世俗=世界的批評」について、できる限り当該研究者とも連携しつつ調査を進めたい。

次年度使用額が生じた理由

本課題をスタートさせて以降、新型コロナウィルス感染症の影響により、出張ができない状況が長らく続いたため。また本務校の研究費によって図書費の購入に充てられるため、未使用金額が生じた。2024年度には、出張費、図書費、研究会開催のために使用予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Weltbuergertum auf dem Weg durch die Geschichte. Ernst Troeltsch und Ernst Bloch.2024

    • 著者名/発表者名
      Haruyo Yoshida
    • 学会等名
      Internationales Symposium: Die Kunst / Literatur im Zeitalter der klassischen Moderne. Ein erbittertes Ringen um einen neuen Ausdruck
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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