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2023 年度 研究成果報告書

検閲と自己懲罰:ロシア帝国とソ連における文学テクスト生産メカニズムの考察

研究課題

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研究課題/領域番号 19K00497
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02040:ヨーロッパ文学関連
研究機関東京大学 (2023)
金沢大学 (2019-2022)

研究代表者

平松 潤奈  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (60600814)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワードロシア文学 / ソ連文学 / 検閲 / ドストエフスキー / 社会主義リアリズム
研究成果の概要

本研究は、テクスト生産を禁じるのではなく促す構成的検閲という観点からロシア・ソ連文学の検閲を考察した。帝政期には、19世紀後半の大改革期の部分的検閲緩和により、逆説的にも作家の自己検閲が強化され、検閲機能が作品内容に取り込まれ、自己懲罰的主体の形成が語られたことを、ドストエフスキー作品を事例に論じた。またソ連公式文学では、主人公の身体の自己破壊という外的暴力のプロットの産出が作家に内面化されるが、こうした内的検閲から生まれた身体表象がさらなる外的検閲を呼び込むという、内的・外的検閲の循環を論じた。さらに、上記のような暴力表象と検閲の関係が、ロシア・ソ連の植民地主義に関わっていることも考察した。

自由記述の分野

ロシア文学

研究成果の学術的意義や社会的意義

一般に、西欧リベラル民主主義社会には検閲は存在せず、それに対して権威主義社会では厳しい政治検閲があると理解されているが、そうではなく、あらゆる社会において、私たちは外的・内的検閲の相互作用を介して発話やテクスト生産を行なっている、という本研究の認識は、社会的意義をもつと考える。また本研究が論じたロシア・ソ連に特有の自己懲罰的な構成的検閲は、現在のロシア=ウクライナ戦争下のロシアの検閲状況の理解にも有効だと思われる。現状を単なる政治権力による国民弾圧とみなさず、国民による公式言説(自己犠牲的暴力の促進)の内面化として理解し、より深いレベルで検閲を理解することが可能になるからである。

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公開日: 2025-01-30  

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