17-18 世紀フランスの文学の中に、共同作業としての作品の概念─集団としての作者が時間をかけて作り上げる共有物としての作品の概念が存在したという仮説を立て、これを証明するため、哲学的地下文書については計量文献学を援用して著作物の中に複数の書き手が存在することを明らかにし、また印刷された著作物については匿名の第二、第三の筆者が作品と対話し作品を変容させていく過程に光を当てた。その結果、著作物を単独の作者の専有物と見做す近代以降の一般的な考え方とは異なる作者観、作品観が17-18世紀に存在したこと、そのようにして共有される作品の内部で起こる対話が啓蒙主義の原動力の一つになったことを示した。
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