2022年度は、まず英国Bloomsbury社より本研究課題の主要成果である「Japan on the Jesuit Stage: Two 17th-Century Latin Plays with Translation and Commentary」が出版された。また4月21日に「 Contamination or Cross-Pollination? The Attack of the Flying Brahmins in 1620s Koblenz」と題して協力者のAntonia Karaisl氏と共同で英語によるオンライン発表を行った。この発表ではコブレンツで発見された1625年上演の日本関係劇のほか同様にインド等非ヨーロッパ圏を扱った未出版写本にみられる、同市における17世紀ラテン語演劇の伝統を詳細に紹介した。また17~18世紀の欧州各地で作成され日本を扱ったラテン語演劇脚本について引き続きデータ収集や文字起こし、翻訳を行い、その背景にある日本におけるキリシタン宣教や西洋における古典伝統受容についても史料収集や整備をした。さらに2023年2月には在ローマの研究・教育機関Vivarium Novumに招待され、約2週間にわたり日本関係に関係する16~21世紀に作成された各種ラテン語文献(地理書、旅行記、宣教史、書簡、演説、演劇、詩など)をラテン語にて行った講演シリーズで紹介した。この講演は、本研究課題の総括として取り組み課題の幅広い成果を盛り込めたと考える。また2022年度に新規採択された基盤(C)「ギリシア神話に回収されるキリシタン:近世擬古典ラテン語文学における日本の受容」にて進めることになる、欧州学術出版社より依頼されている日本関係の近世~現代ラテン語文献に関する研究書(英文)をまとめる準備としてもこの講演シリーズの原稿を役立てたいと考えている。
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