研究課題/領域番号 |
19K00504
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
岩下 綾 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 准教授 (40633821)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 描写 / 王の入市式 / 16世紀フランス |
研究実績の概要 |
本研究課題は、16世紀前半の架空譚における建築描写の役割を、政治・思想・文学史の3つの観点から明らかにすることを目的としている。本研究課題3年目となる2021年度は、海外への渡航が昨年度と変わらず困難だったため、国内で資料収集、資料読解と発表、オンラインでの研究交流を行った。 文献収集と読解に関しては、文学、音楽、造形芸術等の諸芸術の統合が行われる王の入市式に関する資料収集を行い、とりわけアンリ二世のリヨン(1548)パリ(1549)ルーアン(1550)入市式の一次・二次資料読解とまとめを行った。本年度、2019年に行われた文学と視覚芸術に関する学会の論文集が出版されたため、本論集の書評を執筆した。 ラブレーの伝記的調査も引き続き行い、イタリア旅行を中心に文書で確認できる作家の足跡と関連する建築物をまとめた。本研究のコーパスに関わる翻訳の作業の一環として、これまでの主要なラブレー校訂版のまとめと、諸版における「ガルガンチュアの遊び」の語彙に関する比較を行い、16世紀に出版された諸版との相違点とその経緯を明らかにした。 昨年に引き続き、国内外のオンライン学会に参加した。ルネサンス研究の連合団体が開催する学会では、16世紀を対象としたデジタル・ヒューマニティーズや、女性学・男性学のこれまでと今後のあり方に関する知識を得ると同時に、オンライン学会開催のための知見を広めた。また、これまで着手できていなかった研究推進や発表を目的とした電子ツールの情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集、資料調査・読解に関しては、予定していた作業を行った。昨年度の経験からフランス及びイタリアでのフィールドワークが不可能であることを想定していたため、予定通り書籍およびオンライン上で閲覧できる資料を使用して研究を行った。オンラインでの学会参加や海外研究者との研究打ち合わせは、予想以上の頻度で行うことができた。以上の理由により、おおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は研究活動のために海外に滞在するため、資料読解、まとめと分析、発表を集中的に進めることが研究推進の手段となる。前年度、文学と造形芸術との間の共通の理論基盤の調査に着手したが、総合的な考察にはさらなる調査と造形芸術史分野の専門家から助言を得る必要性が見込まれるため、現地での研究交流を深めたい。テキスト内の建築関連語彙およびその出典の調査・分析をさらに進めながら、適宜フィールドワークに着手し、建築物および資料の調査に取り掛かる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度同様、新型コロナウィルスの影響で海外渡航ができず、当初予定していたフランス及びイタリアでのフィールドワークのための旅費・宿泊費・日当および書籍資料収集費が使用できなかったため。次年度は海外での活動を行うため、資料収集や、フィールドワークのための必要経費、および現地研究者と共同で計画中の学会開催費に充当する予定である。
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