本研究課題最終年度となる2023年度は、国外での現地調査と資料収集、それらをまとめた口頭発表、論文執筆、本研究テーマの国際学術集会企画・組織を行なった。 文献については、セルリオの建築理論とフィランドリエのテキストを中心に読解を進めながら、それらの先行研究を把握し、文芸作品との照応を行なった。現地調査については、前年度に未着手であった土地を中心に、ラブレーと16世紀ユマニストたちが訪れたとされる土地の史跡および地域名称の調査を行なった。現存する城や宗教建築物に関する資料収集と実地調査を行い、文芸作品との関連をまとめた。現地では、事前には知り得なかった地理状況や資料、関係者との交流があり、本研究をさらに発展させる発見が少なからずあった。文献読解および現地調査の結果は、適宜論文および学会で口頭にて発表を行なった。また、本研究テーマに近い研究を行う各国の研究者に呼びかけて国際学術集会を開催し、16世紀を通した文学における建築の表現についての議論を行なった。その際の総括を学会において口頭で発表し、また論集を現在編纂中である。 その他には、関連する研究集会への参加に加え、研究所、美術館、劇場の教育プログラムに参加し、16世紀作品のBD化や戯曲化等、芸術作品普及のための発表形態の模索を行なった。日本からは地理的にも時間的にも隔たりのある分野を一般に紹介するための数々の手掛かりを得ることができたので、今後の発表形態に活かしていく予定である。
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