研究課題/領域番号 |
19K00507
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
坂本 貴志 立教大学, 文学部, 教授 (10314783)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自然史 / 博物誌 / 普遍史 / ゴットシェート / カント / ヘルダー / 古代神学 / 世界の複数性 |
研究実績の概要 |
「普遍自然史」の観念についての研究を、十八世紀ドイツの思想家、ゴットシェート、カント、ヘルダーの三者に主として焦点をあてて行うのが目的であり、今年度は、カントの『普遍自然史』とヘルダーの『イデーン』に即して研究を行った。「普遍」と「自然史」との関連に関しては、ビュフォンの『博物誌』の研究をとおして、特殊と普遍との区別が重要な視座であることが明確となった。「普遍史」がもった本来の意味が、ライプニッツとカントを経て解体され、歴史哲学的な意味を付与されて新しく「自然史」と融合するのをカントにおいて明らかにし、また「普遍史」が「古代神学」と結びついてなお「有機体論」として展開される様をヘルダーに即して分析した。カントに関する研究内容は、日本18世紀学会の共通論題(シンポジウム)にて行った。仏文学者、美学研究者、法学研究者とのセッションであり、本研究に関わるテーマが幅広い分野の研究者たちとの間で共有可能であるのを示すことができた。また自然史に関する比較文化的研究内容の発表を国際18世紀学会エジンバラ大会にて行い、中国および韓国の18世紀研究者たちとの意見交換を通して、本研究が比較文化的観点でも有益な貢献を行うことができるのを確認することができた。また本研究テーマに関連して小規模の研究会を複数持つことができ、そこにおいて、研究内容の多角的な検討を行うほか、発展的展開のための多くの示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
古代神学研究をヴォルフェンビュッテルのアウグスト公図書館にて、自然史研究をヴァチカン図書館にて行うことができた。後者の研究は疫病の流行により、期間を短縮せざるを得なかったが、当初の目的としていた研究は十分に行うことができたため、順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
パンデミーにより国外研究機関の利用と国外研究協力者との連携が難しい状況にあるので、比較文化的観点での研究を国内研究機関で行う方策を考える。 また、21年度に予定している研究内容の単著による発表を早めて20年度内に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
パンデミーにより国外研究旅行の旅程が短縮されたことにより次年度使用額が発生した。今年度に新たに購入する必要の出てきた書籍の費用に充てたい。
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