本研究は、ふたつの課題を掲げていた。第一に、20世紀前半のロシアの詩人・作家・批評家であるジナイーダ・ギッピウスを中心に、同時代ロシア内外の文学・芸術の動向、とくに女性文学という領域を精査すること、第二に、ギッピウス以後の、つまりは20世紀後半以降のフェミニズム批評やジェンダー/セクシュアリティ研究に、19-20世紀転換期のロシアの女性文学を接続させることである。 ふたつの課題について、ともに1900年代のギッピウスの詩作品や評論、エッセイ、書簡を起点に研究を行った。そのなかで新たに、現代思想においてきわめて重要な主題である動物/動物性という問題系が本研究の展望に加えられた。
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