本研究は、両大戦間に活躍したフランスのリポーター、アルベール・ロンドルの業績の分析を通じて、第三共和政下におけるジャーナリズムの発達とルポルタージュというジャンルの成立について解明することを目的とする。ルポルタージュはジャーナリズムの一部をなすのみならず、歴史や文学といった周辺領域と密接な関係を持つ。それゆえに本研究では、歴史的・文学的観点からの分析を交えることでルポルタージュというジャンルをより立体的に理解することを試みる。 2022年度末にこれまでの研究成果をまとめて著書『アルベール・ロンドル 闘うリポーターの肖像』を刊行した。2023年度には研究をさらに進展させ、特にロンドルと日本の関係に焦点を当てた。8月にはフランス出張を行い、資料調査を行うと同時に、毎年ヴィシーで行われる「アルベール・ロンドル会議」に参加し、ロンドルの日本滞在に関する研究発表を行った。同時に、ロンドルの研究団体である「アトリエ・アルベール・ロンドル」の研究者たちと交流し、ロンドル研究の現状について情報を収集した。 研究成果としては、以上の調査・研究にもとづき、『南山大学ヨーロッパ研究センター報』第30号に論文 《 Albert Londres au Japon : la rencontre des journalistes francais et japonais dans les annees 1920 》 を執筆した。本論文においては、アルベール・ロンドルの1921-1922年における日本滞在中に日本人ジャーナリストが彼を取材した新聞記事を紹介し、その分析を通じて日仏のジャーナリストの歴史的出会いについて検討した。
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