バルト、ブランショ、デリダにおけるエクリチュール概念と発話理論の関係を明らかにするという目的に沿って、主として以下の研究を行った。 (1)バルト「「書く」は自動詞か?」をデリダの発言と比較検討した。バンヴェニストの中動態論文を精査し、非人称的な文学言語と中動態の差異を明らかにした。バルトとブランショのエクリチュール論を比較検討した。(2)形而上学的隠喩論のデリダによる脱構築や、デリダが従来の哲学とは別の語りを模索したことを明らかにした。(3)ブランショのエクリチュール概念の背後にヘラクレイトスの断片的な言葉があること、ポーラン『タルブの花』の常套句論とブランショの文学論との関係を明らかにした。
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