研究課題/領域番号 |
19K00514
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
宇戸 清治 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (30185053)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ターオ・フン、ターオ・チュアン / メコン川流域 / 英雄叙事詩 / ラオス古典文学 / 東南アジア文学 |
研究実績の概要 |
前年度に続くコロナパンデミック禍の状況の下、当該年度に実施した研究活動で中心となったのは、コロナ以前の2019年12月、および2020年2-3月の2階に渡るタイ、ラオスでの現地調査、ラオス国立大学ラオス語・ラオス文学研究者との学術交流、関連資料収集やタイのチュラローンコーン大学中央図書館所蔵資料の複写を通じて獲得した資料の読み込みと解析であった。 原文の邦訳も進めてはいるが、本研究への現地協力者である在野専門家ドアンドゥアン・ブンニャーウォン氏(父親がタイの国立図書館でターオフン・ターオチュアン物語の貝葉書を発見し、解説と共に、トヨタ財団の官公援助を経て、ラオス語版を出版した)、ラオス国立大学文学部准教授チャマイポーン氏からの直接指導が得られない中、背景となった歴史事象の注記などが必要で、研究の進展は予定より遅延気味である。
逐次訳は今秋より、タイの邦字新聞『タイ経済』に掲載されることが決まっており、それまでに全訳を完成させたいと希望している。なお、たい、ラオス両国とも今年から漸次入国規制を緩和しているので、夏または冬に現地調査を行い、遅延気味の研究の進展を図りたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナパンデミックに見舞われる以前に収集した研究資料の分析と解読、和訳を進めているが、タイ、ラオス現地の研究協力者との直接の情報交換、質疑応答、新資料の収集、叙事詩の舞台となった地域の視察、両国の考古資料を展示している博物館、民芸館等の廃館と資料収集などがこの3年間ほとんどできておらず、入出国が比較的緩くなった今年こそ、現地調査によってこれらの遅れを一気に取り戻さなくてはと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年8月まで。『ターオフン・ターオチュアン物語』の邦訳と解説を進める。 2023年9月以降~2024年3月(または数ヶ月延長の場合もある)。叙事詩『ターオフン・ターオチュアン物語』邦訳をタイの邦字新聞『タイ経済』に連載し、一般に公開する。 2023年9月~2024年度。『ターオフン・ターオチュアン物語』の物語構造、物語世界、人物像、言語、ラオス古典文学の中の位置づけ、現代的意味について学術論文を書き公開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナパンデミックに伴うタイ、ラオスの深刻な感染状況と出入国管理の厳格化により、2022年度もまたその前年に引き続き現地調査を見送らざるを得なかった。そのため、旅費、謝金、物品資料等の購入費、通信費などが発生しなかった。2023年度は出入国管理が緩和されたので、8月前後に現地調査を実施する計画である。
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