研究実績の概要 |
古ヒンディー文学のテキスト解釈を統一した形式でまとめ、地域差と文学様式の異なる15-6世紀のヒンディー文学を共時的に比較考察しその全体像を明らかにする目的で研究を実施した。新型コロナ感染症の世界的流行によって途中の研究が停滞した時期があったが、2022年度に代表者が開催したThe 14th International Conference on Early Modern Literatures of North India (ICEMLNI)で本研究の研究協力者が研究発表を行い、その後はZoomで定期的に研究会を開催した。 最終年度は、古ヒンディーの3言語(Avadhi担当長崎広子, Rajasthani担当Aleksandra Turek, Sadhukari Bhasha担当Jaroslav Strnad)の文法を表し、サンプル・テキストから詳細な用例を付した。またサンプル・テキストを英訳し、文学的解釈の説明と文化的背景の説明を加え、3言語で共通する文法をGeneral Notes on Grammarとして3名が共同で表した。語彙集とBibliography、また各言語の地理的位置づけを明らかにするための地図を作成した。さらに長崎はProsodyを担当し、3言語のテキストそれぞれの韻律分析を行った。これらをまとめて、Triveni-Texts of Three Literary Traditions in Early Modern Languages of North India, A Readerと題して国際共著の学術書を出版した。 この書籍のテキストを用いてAleksandra Turekが、Imre Bangha(Oxford大学)が主催する古ヒンディー語のワークショップでセッションリーダーとしてテキスト講読を行った。そこでの指摘を受けて修正版をオープンアクセスの電子書籍として一般公開した。
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