研究課題/領域番号 |
19K00526
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
本浜 秀彦 文教大学, 国際学部, 教授 (60441961)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ニシムイ美術村 / 戦後沖縄文学 / イメージの運動体 / 米軍占領 / 美術教育 / 装幀 / 挿画 / アメリカニズム |
研究実績の概要 |
初年度の2019年度は、勤務先から在外研修の機会を得た期間と重なったため、直接経費はまったく使用せず、主に英国内の大学や、研究機関の図書館で閲覧することのできる、本研究テーマに関連する日本美術、沖縄美術などの図書や資料をもとに研究を進めた。 在外研修中の研究や海外の研究者との交流から、近代日本の美術教育のユニークさについて再認識したこともあり、日本の近代美術史の流れに関する資料、論考については意識的に渉猟した。その中で、すでに指摘されていることではあるが、東京美術学校初期の卒業生(山本森之助ら)が沖縄師範学校や県立中学に赴任したことをきっかけに、地元の美術関係者に刺激を与え、今度は彼らのまいた種から次世代の美術教師(西銘生楽、比嘉景常ら)が登場し、さらには西銘、比嘉らが若き日のニシムイの画家に美術教育をほどこすことになったという美術教育史の流れは、より精緻な整理がされると、さらなる研究の鉱脈につながると考えた。 安次嶺金正、安谷屋正義、山元恵一らニシムイの画家の作品については、2019年度はオリジナルに触れる機会は持てなかったが、美術全集、画集などをもとにイメージ分析を行った。 沖縄文学については、すでに収集、撮影している大城立裕、目取真俊らの単行本、文庫本などの装幀の画像の整理を始めた。 同じ作品でも発行年や本の形態(単行本か文庫本か、など)によっても異なる装幀デザインのイメージの分析、また20世紀のアメリカニズムにつていの研究にも着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は英国での在外研修中だったため、本研究の鍵となる沖縄県立博物館・美術館、沖縄県立図書館をはじめとする沖縄での資料収集を行うことが難しかった分、研究は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
在外研修を終えてのぞむ2020年度は、沖縄県立図書館、沖縄県立博物館・美術館など沖縄での資料収集、調査を重点的に行う計画をたてている。同図書館では大城立裕らの単行本化された小説の装丁に関する資料を中心に収集を行い、また同博物館・美術館では所蔵されている安次嶺金正、安谷屋正義、玉那覇正吉、山元恵一らの作品について、鑑賞、分析を行うとともに、関連資料の入手もはかる。 ニシムイの画家たちが受けた美術教育については、さまざまな角度から分析を行う。具体的には、彼らが学んだ東京美術学校(現・東京藝術大学)や、美大受験にあたり通った川端美術学校、同舟舎洋画学校などでの教育や指導などを調べるとともに、戦前の沖縄の旧制中学についての調査を進め、行われたその美術教育の詳細を探る。 彼らと交流のあった画家(藤田嗣治、福沢一郎など)からの影響、さらには20世紀の「アメリカニズム」がニシムイの画家たちに与えた影響についても考察を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は、英国での在外研修の機会を得たため、沖縄出張をはじめとするに国内出張を見送り、またノート型パソコン、図書などを購入することもなかったので、直接経費の支出はなく、そのため次年度使用額が生じることとなった。 在外研修を終えてのぞむ2020年度は、沖縄への4回程度の出張なども含めた国内出張を行うほか、当初から予定していた研究遂行のためのノート型パソコンや、図書資料などに経費を支出する予定である。
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