音声と文字のはざまで過小評価されてしまう傾向のある句読法や符号にあえて注目し、文字の図像性を手段として文学や著作で表現された感情を浮き彫りにすることを試みた点に本研究の意義がある。日本語に関して句読法は、昭和21年3月に文部省が作成した「『くぎり符号の使い方』(案)」等に記載されたルールが適用されることが一般的であるが、本研究が翻訳可能性の問題に触れたことで句読法への新たな視座が提供できた。またドイツにおける最近の国語教育の影響でドイツ語母語話者にも正書法や句読法の軽視や混乱が多く見られる。本研究を国際的に発信することで、ドイツ語圏における正書法や句読法の再評価につながった。
|