研究課題/領域番号 |
19K00532
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
中丸 禎子 東京理科大学, 教養教育研究院神楽坂キャンパス教養部, 准教授 (50609287)
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研究分担者 |
加藤 敦子 都留文科大学, 文学部, 教授 (40625448)
田中 琢三 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (50610945)
兼岡 理恵 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (70453735)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 日独交流 / 北欧受容 / ナショナリズム / 日本近代 / キリスト教 |
研究実績の概要 |
2022年度は、本研究課題の集大成としての書籍『内村鑑三、北欧、ドイツ、ナショナリズム』(仮)の刊行に向け、研究代表者の国際学会での口頭発表、研究分担者1名の学内発表、研究代表者・分担者が構成する共同研究グループ「プロジェクト人魚」において、研究分担者2名と外部執筆者らの口頭発表を行った。 本研究課題は、明治・大正期をファシズム期に向かう時期と捉え、同時期の日独交流におけるドイツのプレ・ファシズム思想の日本への導入、ドイツの民族主義で称揚された北欧の紹介のあり方を考察する。2021年度までの研究により、内村鑑三「デンマルク国の話」におけるデンマーク紹介が、一つの軸になり得ることが判明した。 研究代表者・中丸の国際学会発表では、内村「デンマルク国の話」とその原典である英語記事を北欧受容の観点から比較した。2023年5月現在、口頭発表を元にした英語論文を投稿中である。研究分担者・田中の学内発表は、上記書籍の1章を構成するものである。 プロジェクト人魚研究会における口頭発表会は、2021年度より、執筆候補者の研究関心の共有、上記書籍寄稿原稿のテーマ策定のために開催している。2022年度の発表者・発表タイトルは以下のとおりである。田渕宗孝「グロントヴィの捉え方~ナショナリズム論を参考に~」(第58回研究会/2022.09.03)、加藤敦子「近世演劇の「キリシタン」とその背景」・兼岡理恵「W.グンデルトの日本研究ーその特色・日本文学研究の視座から」(第59回研究会/2022.09.15)、渡部和隆「内村鑑三におけるキリスト教思想と社会分析の交差」(第61回研究会/2023.01.07)、ペーターセン エスベン「内村鑑三、レオ・トルストイと日露戦争」(第64回研究会/2023.03.28)、赤江達也「内村鑑三と塚本虎二はなぜ分離したのか」(第65回研究会/2023.03.30)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外部執筆者も含め、口頭発表・質疑応答による情報共有、既存の着想のブラッシュアップ、『内村鑑三、北欧、ドイツ、ナショナリズム』(仮)に即した新テーマへの着手の機会は十分に取ることができた。一方、研究代表者・分担者は、これらを学術論文として公開するには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、互いに連動する以下の3点を並行して進める。 1点目は、『内村鑑三、北欧、ドイツ、ナショナリズム』(仮)の刊行に向け、中丸が第1章「内村鑑三『デンマルク国の話』における北欧表象とその受容」(仮)を執筆する。同章を研究分担者(共編者)と共有し、書籍のテーマと構成を確定する。 2点目は、上記第1章を共有の上、執筆者から原稿を募集し、プロジェクト人魚研究会で寄稿原稿に基づいた口頭発表会を開催する。 3点目は、国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))「近代日本とドイツ・北欧の思想・文化交流:北欧作家ラーゲルレーヴを中心に」と連携し、研究代表者の既発表の関連論文の英語訳・体系化を進める。 3点を通じ、『内村鑑三、北欧、ドイツ、ナショナリズム』(仮/2024年3月刊行予定)を完成させるとともに、同書を軸に、ドイツ、北欧の研究者も参画した国際共同研究を展開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、研究代表者・中丸がジョージア・トビリシで開催される国際比較文学会(ICLA)への現地参加を予定していたが、オンライン参加に変更したため、国外旅費が発生しなかった。 中丸は、国際共同強化(A)に採択され、2024年度に1年間の海外調査を実施する予定である。この予備調査を2023年度内に実施する。2023年度使用額は、渡航に向けた予備調査、既発表論文の英語化、ハイブリッド研究会開催のための備品の購入に充てる。
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