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2021 年度 実施状況報告書

ハイダ語の統語法に関する記述研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K00547
研究機関静岡大学

研究代表者

堀 博文  静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (10283326)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードハイダ語 / 北米先住民諸語 / 音韻論 / 形態論 / 統語論
研究実績の概要

本研究課題は,カナダのブリティッシュ・コロンビア州のハイダ・グワーイで話されるハイダ語の統語法に焦点を当て,文法の全体像を得ることを目的とするものである。本来,現地調査によって,ハイダ語の話者から直接情報を得ることを研究計画の中心に置いていたが,本年度も,新型コロナウイルスの影響により,現地への渡航が叶わず,制約の多い中で研究を遂行せざるを得なかった。そのような状況の中において得られた今年度の研究成果は,おおよそ次のようにまとめられる。
まず,自身がこれまで実施してきた調査において得た資料の整理と再検討を行なうとともに,スワントン(John R. Swanton)によって蒐集されたテキストの整備と再分析・再解釈を試みた。特に後者は,現代のハイダ語話者には見られない特徴が多く見られる点で貴重なものであるが,多くの誤りを修訂する作業が必要であり,それに多くの時間を費やした。統語法の解明を主眼とする本研究課題では,このスワントンのテキストは,重要な資料となり得るものであり,それゆえ,こうした一連の作業は,現地調査ができない現状にあって,その缺を補うという意味がある。
加えて,従来の自身の研究において指摘した,ハイダ語における音声的ピッチ,音節構造,形態論的情報の三者の関係性について再考を加え,従来よりも一層簡便な規則を設定するとともに,ピッチだけでなく,ストレスや音節の軽重など超分節的特徴を包括的に捉える必要があることを指摘した。この音声的ピッチの現象は,更に,ハイダ語の語性を考える上で一つの鍵になると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究課題が当初の計画よりやや遅れていると判断したのは,新型コロナウイルスの影響により海外渡航が許されない状況において,現地調査が行なうことができないからである。過去になされた資料の整理と再検討も試みているが,統語論の解明のために必要なテキストが新たに蒐集できないのは,本研究課題の遂行において一つの障碍となっている。

今後の研究の推進方策

現時点においては,現地調査を実施するのが難しい状況にあることが予想される。そこで,これまで自身が集めてきたテキストや20世紀初頭にスワントン(John R. Swanton)によって蒐集されたテキストの再分析を行ない,ハイダ語の統語法の諸問題の解明に努めるとともに,それら時代的に異なる両種類のテキストを比較することにより,ハイダ語における構造的・通時的変化を研究することも視野に入れたい。

次年度使用額が生じた理由

本研究課題は,カナダでの現地調査を計画の中心に据え,それを見込んで助成金の申請をしていたが,新型コロナウイルスの影響により,いまだに海外渡航そのものができない状況にあり,その分の旅費が使用できないのが次年度使用額が生じた大きな理由である。次年度に海外渡航ができるようになれば,その旅費に充てることにし,もしできなければ,設備備品などに充てることを考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] ハイダ語のピッチ付与規則について2022

    • 著者名/発表者名
      堀 博文
    • 雑誌名

      静言論叢

      巻: 5 ページ: 125~146

    • DOI

      10.14945/00028824

    • オープンアクセス
  • [学会発表] ハイダ語(北米先住民言語)の「語」について:動詞を中心に2021

    • 著者名/発表者名
      堀 博文
    • 学会等名
      第53回中日理論言語学研究会 シンポジウム:「言語類型論から見た「語」の本質」
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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