• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

ハイダ語の統語法に関する記述研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K00547
研究機関静岡大学

研究代表者

堀 博文  静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (10283326)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワードハイダ語 / 北米先住民諸言語 / 類別辞 / 形態論 / 系統論 / 言語接触
研究実績の概要

本研究課題は,カナダのブリティッシュ・コロンビア州北西部のハイダ・グワーイで話されるハイダ語の文法現象を解明することを主たる目的とする。研究の遂行にあたっては,一次資料を得るために現地調査を実施することが不可欠であるが,2022年度も新型コロナウイルスの影響によって現地調査ができなかった。そうした制約があったものの,主に,ハイダ語の類別接頭辞,更にハイダ語と他の言語の関係について考察を行なった。
ハイダ語の類別接頭辞という要素は,動詞に付加され,主に自動詞節の主語,他動詞節の目的語となる名詞句の意味範疇を表わす。しかし,実際の用法をつぶさにみてみると,類別接頭辞と名詞句の結びつき方は文脈に依存する程度が高く,話者が発話時において,その名詞句のどの意味特徴を捉えるかによって,ある程度,自由に使い分けることが可能な点が指摘できる。それはすなわち,名詞句の意味範疇とは離れ,いわば動詞の側から名詞を修飾する機能も併せ持っていることを示す。
一方,ハイダ語と他の言語との関係に関する問題として,まず,ハイダ語の系統論がある。近年では,アラスカのナ・デネ語族とシベリアのイェニセイ語族との間の系統関係が蓋然性が高いものとして受け入れられつつあり,そうした中,かねてから前者と親縁関係があると言われてきたハイダ語の位置付けを考察する必要があった。結論をいえば,ナ・デネ語族とハイダ語の間に系統関係の証拠となるようなものが見られないことから,ハイダ語は孤立言語と見做さざるを得ず,むしろ考究すべきは,他の言語との間の相互影響である。Jeff Leerが提唱する北部北西海岸言語領域を仔細に検討すること,更に,文化的に繋がりの深い周辺の言語との関係も明らかにする必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

主に過去の自身の研究あるいは先行研究を駆使するなどして一定の成果が得られているものの,本研究課題を遂行するには,やはり現地調査によってハイダ語話者から直接資料を得ることが必要不可欠である。特に文法に関わる事項を明らかにするためには,現地調査によってのみ話者から聞き出し得ないことも多い。
このように現地調査によってしか得られないデータを得ていないという点からみて,進捗状況が遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルスによる影響が小さくなりつつある現在,今後は,現地調査を行なうことによって,話者から直接資料を得られるようになると期待している。しかし,一方で,新型コロナウイルスの感染が再拡大した場合に備え,これまで自身が蒐集した資料に加え,過去になされた研究資料を活用するなど,現地調査の代替手段も引き続き検討しておきたい。

次年度使用額が生じた理由

2022年度に予定していた現地調査が,新型コロナウイルスの状況のために実施できず,現地調査に充てていた分の費用が執行できなかった結果,次年度使用額が発生する事態となった。2023年度には,現地調査ができる見込みが立ちそうなので,その分も併せて執行する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Verbal classifiers in Haida2022

    • 著者名/発表者名
      堀 博文
    • 雑誌名

      言語研究

      巻: 162 ページ: 1~23

    • DOI

      10.11435/gengo.162.0_1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ハイダ語(北米先住民諸言語)の系統をめぐって2022

    • 著者名/発表者名
      堀 博文
    • 雑誌名

      国立民族学博物館調査報告 = Senri Ethnological Reports

      巻: 156 ページ: 357~385

    • DOI

      10.15021/00010006

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 北アメリカ北西海岸地域の言語領域と接触:北部を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      堀 博文
    • 学会等名
      国立民族学博物館シンポジウム「環北太平洋地域の先住民社会の先史、言語、文化」
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi