学術的意義としては、声調の種類を多く持つ声調言語の母語話者が、母語以外の声調の知覚や認識、弁別において、必ずしも他言語の声調の弁別に対して有利なわけではないことが示唆された。また、音響分析や知覚実験を通じて、声調言語の記述の枠組みを再検討することができた。社会的意義としては、日本語母語話者の声調言語の習得に役立つ知見が得られたことである。中国語やタイ語などのいわゆる声調言語を母語とする国々との交流は今後さらに深まっていくものと想定されるので、日本人学習者の声調言語の習得の支援につながる研究成果は社会的意義も大きいと言うことができる。
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