研究実績の概要 |
最終年度は、データ収集に加えて、成果発表およびその準備を中心に行った。 ●データ収集:タンザニア、ルワンダ、ナミビアで現地調査を行った他、ゲント大学(ベルギー)と東京外国語大学で開催された2度の国際ワークショップにおいてデータ収集を行った。 ●成果発表:6月にマラウイ大学 (マラウイ共和国ブランタイヤ)で開催された第9回国際バントゥ諸語学会においてDegrees of definiteness in Swahili locative constructionsと題してスワヒリ語における主語の位置と主題性との関係について発表を行った。2023年3月に東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所で開催された国際ワークショップにおいて Subject properties in Bantu Languagesと題してバントゥ諸語に見られる主語の主題性について発表を行った。この他、国内の2つの研究会において「バントゥ諸語における主語のプロパティ:主語と主題の関係」と題した研究発表を行った。これらの発表を基に、現在は共同研究者である森本雪子氏と2本の共著論文 'Variation in the grammaticalization of topic and subject across Bantu languages',「バントゥ諸語の主語のプロパティに見られるマイクロバリエーション」を執筆中である。 ●新たな研究の計画:本課題をとおして、情報構造によって語順が決定づけられる言語がある一方で、語順に情報構造が一切関係することなく常にSVO語順を保持する言語があることや、主題性の低い名詞を「主語」として扱えない言語など、バントゥ諸語の情報構造と語順との関係に多様なバリエーションが見られることが明らかになった。ここから着想を得て研究計画を立て、科研費申請に至ったことも最終年度の成果である。
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