研究課題/領域番号 |
19K00555
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研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
福嶋 秩子 新潟県立大学, その他, 副理事長 (80189935)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 言語地理学 / 新潟方言の形容詞 / 言語地図 / 方言集 / アジア言語地図 / ヨーロッパ言語地図 |
研究実績の概要 |
言語の多様性のありさまと変化のプロセスについて分析追求するために、多様な言語データを地図化し、関連する方言分布を総合・比較する研究を実践した。新潟方言における形容詞には「赤い」がアッケ、「黒い」がクーレとなるような独特の発音の型があるが、その地域差に注目し、様々な言語調査や方言集からデータを集めて地図化やグラフ化を行い、その地域差と変化について推定した。Fukushima 2019(雑誌論文)では、短大生の調査と全国調査、外山正恭編『新潟県方言訛語集』を用いて、新潟方言の形容詞の語彙・形態・音韻の諸レベルの分布の相関について報告した。形容詞の発音の型には第2音節の子音の性質の違いが影響していること、強調の役割もあり複数の型が併用される可能性があることについて指摘した。福嶋2019(学会発表)では、日本言語地図・方言文法全国地図における形容詞の分布地図を作成し報告した。「高い」については総合地図を作成した。福嶋2020(学会発表)では、渡辺富美雄編『新潟県方言辞典』を用い、地域別のグラフ化と第2音節の子音の性質の違いによる地図化を行い、地域差と変化の状況を明らかにした。また、Fukushima 2019(学会発表)では、アジア言語地図とヨーロッパ言語地図について、「太陽」の言語地図を比較し、共通の傾向や各の独自性について報告した。 西欧と日本の言語地理学の出会いとその後の発展のありさまについて報告するワークショップを2018年の国際会議SIDG9で開き司会を務めたが、その発表などをまとめてバルセロナ大学のDialectologiaの特別号として発行した。編集を務めるとともに、柴田武の業績を中心に概説・報告した論文Fukushima 2019(雑誌論文)を寄稿した。 言語地理学関係書籍・雑誌や研究に使用するPCを購入するとともに、ホームページで研究関連情報を発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は国際会議のない年であったが、機会を捉えて論文発表・学会発表を行った。また、次年度の国際会議での発表に向けて研究を継続し発表を申し込んだ。
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今後の研究の推進方策 |
今年度出席予定であった国際会議は二つとも延期になったが、研究を継続し、さらに進展した内容で発表できるようにしたいと考えている。また、新潟方言の形容詞については、様々なデータを調査したので、まとめの論文を書くつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
2月に出席を予定していた研究会が新型コロナウイルス感染の影響で中止となったため。繰り越し分は2020年度の研究費にあてるつもりである。なお、2020年度にヨーロッパで開かれる予定であった国際会議が2021年度に延期になったため、その旅費分は次年度に繰り越す可能性が高い。
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