研究課題/領域番号 |
19K00557
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
中村 浩一郎 名桜大学, 国際学部, 教授 (50279064)
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研究分担者 |
山城 智史 名桜大学, 公私立大学の部局等, 上級准教授 (50794616)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 主題構造の言語間比較 / カートグラフィー分析 / 日本語学習者 / 中国語学習者 / 理論と実践の融合 |
研究実績の概要 |
申請時の概要では2019年度は(i)データ収集、(ii)データ分析検討会、(iii)国内外の学会参加を中心に研究を進める予定であった。 (i) 購入した文献などを通して、中国語、イタリア語などの理論的研究で扱われているデータは収集できた。ただ、分担者が中心となって2020年3月に予定していた中国南開大学における中国人の日本語学習者に対するインタビュー調査は、新型コロナウイルスにより行うことができなかった。一方、分担者の日本人中国語学習者のデータ収集(国内)は、予定通り行われている。主題構造の比較を中心とした教授法によって、学習者の中国語の理解度に関するデータを収集している。 (ii) データ分析検討会は、日本人中国語学習者のデータに関して一度行った。 (iii)代表者はパリ開催の国際学会において日本語の助詞「わ」と「が」が主要部位置を占める経験的根拠を示した。また、北京開催の国際学会において関西弁の「やん」をカートグラフィー分析し、evaluative modalの主要部に位置するという趣旨の研究発表を行った。更に、日中主題構造を比較した"Types and functions of wa-marked DPs and their structural distribution in a Japanese sentence"と題する論文がJohn Benjamins社から出版された) Information-Structural Perspectives on Discourse Particles.に掲載された。 分担者は2020年3月に学会・シンポジウムへの参加を予定していたが、いずれも新型コロナウイルス感染拡大予防のため中止となった(東京外国語大学、上智大学、一橋大学)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代表者が学会発表と論文執筆を行い、イタリア語、スペイン語などのデータはある程度収集できたものの、日本語と中国語の比較対照研究の核となる中国人日本語学習者のデータ収集できなかったことから、(3)とした。新型コロナウイルスによる不可抗力であり、代表者、分担者、南開大学関係者共に時間の余裕があるのが3月であったため致し方ないことではあるが、本研究を進めるに当たって大きな誤算となった。分担者が収集している日本人中国語学習者のデータと比較できなかったことも課題として残る。
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今後の研究の推進方策 |
Familiar topic, frame-setter, contrastive topicと呼ばれる主題句の生起順がドイツ語、イタリア語では決まっているというと言う分析がなされており、これが中国語にも当てはまると言う趣旨の分析がなされ始めている。これに対する反論を日本語から提示する分析を50th Poznan Linguistic Meetingという国際学会に投稿済みである。更に、強勢を受ける「は」句がフォーカスを示すという趣旨の論文も22nd Seoul International Conference on Generative Grammarという国際学会に投稿済みである。ただ、前者は今年度の開催が中止、来年に延期になった。更に、後者も開催が未定である。更に、南開大学での資料収集も可能かどうか未定である。対面でのインタビュー調査によるデータ収集を予定しているので、2021年度になる可能性もある。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に予定していた南開大学での資料収集が新型コロナウイルスにより不可能となった。今年度可能であれば、現地に赴きデータを収集する。分担者が2020年1月に参加を予定していた中国語教育学会も中止となった。学会出張は状況によるが、現状が改善されなければ次年度に延期せざるを得ない。 また、神戸大学の岸本秀樹氏、神田外語大学の遠藤喜雄氏に協力を依頼し、日本語のデータを収集する予定であったが、状況により、オンラインでのデータ提供を依頼する可能性もある。更に、最新の研究成果が発表されている文献、論文などはインターネットを通して購入する。
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