研究課題
研究期間延長の1年であり、研究成果のまとめと公表を中心に作業を進めた。本研究の最も重要な成果は、フェイズと転送領域の新たな定義を提案し、その帰結として、(1)照応形の束縛領域をより正確に捉え、(2)制御の移動分析 (あるいはコピー形成分析) とフェイズ理論の矛盾を解消して、さらに(3)これまで問題とされてきた使役文における照応形の分布と残留部移動に関する日英語の相違に初めて説明を与えたことである。この成果は、2022年8月に香港中文大学が開催したGLOW in Asia (アジア理論言語学会) 第13回大会における基調講演として発表したが、今年度、分析に修正を加えて“On Minimal Yield and Form Copy: Evidence from East Asian Languages”と題する論文の最終稿を書き上げ、専門誌The Linguistic Reviewに公表した。また、前科研プロジェクト「日本語を中心とした比較統語論に基づくラベリングの研究」の成果と本プロジェクトの成果をまとめた原稿『生成統語論の成果と課題』を大幅に修正して、最終稿を完成させた。開拓社最新英語学言語学シリーズの監修者による書式のチェック後、印刷に回り、専門書として出版されることになっている。コロナ禍の影響で、共同研究、意見交換、成果発表のための海外出張を延期していたが、今年度、メリーランド大学、コネティカット大学、モンゴル国立大学に出張した。成果の発表を行うとともに、Howard Lasnik教授と非顕在的Wh移動について、Norbert Hornstein教授と制御現象について、そしてZeljko Boskovic教授とフェイズの定義について検討した。この討議から得られた知見により、本プロジェクトの成果を充実させ、今後の研究の方向性をより明確にすることができた。
コロナ禍により、共同研究、意見交換、成果発表のための海外出張を延期したため、研究期間を1年延長することになった。2023年度にすべての計画を終えることができた。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (2件)
The Linguistic Review
巻: 41 ページ: 59-84
10.1515/tlr-2024-2003
Rich Descriptions and Simple Explanations in Morphosyntax and Language Acquisition (Oxford University Press)
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https://www.acoffice.jp/ndsuhp/KgApp?resId=S000151
https://www.ic.nanzan-u.ac.jp/LINGUISTICS/staff/index.html