研究実績の概要 |
2020年度の研究実績としては,南アフリカ共和国で話される6つのバントゥ系言語,すなわちヴェンダ語(Tshivenda, S21),ツォンガ語(Xitsonga, S53),スワティ語(Siswati, S43),北ソト語(Sepedi, S32),南ソト語(Sesotho, S33),南ンデベレ語(South Ndebele, S407)の形態統語論的特徴に関する記述データを資料集の形で集成した共編書(Lee, Seunghun J., Yuko Abe and Daisuke Shinagawa (eds.) Descriptive materials of morphosyntactic microvariation in Bantu vol. 2: A microparametric survey of morphosyntactic microvariation in Southern Bantu languages, Tokyo: ILCAA)の公刊を挙げることができる.バントゥ諸語内部の形態統語論レベルのミクロ類型論的分析のために設計された142のパラメータ・セットを用いて収録された各言語のデータは,2020年3月に南ア・ヴェンダ大学で2週間にわたって行われたワークショップにおいて現地の各言語の専門家とともに収集されたものである.また.その際に収録した音声データは,音声分析プログラムpraatによる分析結果とともにデジタルデータ化し,それらにアクセスするためのデータアーカイブサイト(https://renelda.aa-ken.jp)を構築,公開した.その他の成果発信としては,焦点表示と否定表示の類型的連動関係に関する国際共著論文が国内学術誌に掲載予定,またバントゥ諸語の類型的多様性に関する国際書籍への章論文が出版の最終段階にあることなどが挙げられる.
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