研究課題/領域番号 |
19K00568
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
品川 大輔 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (80513712)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | バントゥ諸語 / ミクロ類型論 / 形態統語論 / パラメター連動関係 |
研究実績の概要 |
2021年度は当初計画の最終年度にあたることもあり,予定していた成果発信はほぼ計画どおりに遂行された.また,コロナ状況におけるオンラインでの成果発信が定着したこともあり,当初予定以上の研究業績を挙げることができた.まず,以下の2本の国際学会での研究発表を行った: i) "we- in Uru" @ 8th International Conference on Bantu Languages (Bantu8); ii) "A micro-parametric survey on typological covariation related to focus marking strategies: based on the Bantu Morphosyntactic Variation database" @ 10th World Congress of African Linguistics (WOCAL10).Lutz Marten教授 (SOAS) との共同発表である後者は,テーマ別ワークショップ ("Bantu universals and variation"; cf. http://2021.wocal.net/workshops/) の招待講演として行われ,パラメター連動による類型論的原理の探求という本研究課題の中心テーマに関する研究成果を,広く国際的な文脈で発信しえた.それに加え,同じくMarten教授との共著論文 "Micro-typological Covariation of Negation and Focus Marking Morphology in Bantu languages" を『言語研究』 (160) に上梓した.これらに加え,本研究課題に直接かかわる研究発表を国内会議3件,国際会議2件(いずれもオンライン)にて行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績の概要」で述べたとおり,当該年度は当初計画における最終年度にあたり,当初より成果のとりまとめと発信に重点を置いていたが,それらの内容はほぼ予定どおり実行された.COVID-19のパンデミックによる渡航制限によって,海外での現地調査や学会参加は実行しえなかったが,成果発信については当該年度においてはオンライン会議が定着してきたことも奏功し当初以上の成果発信の機会を得た.一方で,コロナ状況による(主に海外調査に関する)研究活動の制約による事業期間延長が認められたこともあり,可能な範囲での海外調査と成果発信を継続する.「今後の研究の推進方策」の項目で述べるとおり,2022年度においてもすでに一件の国際会議での研究発表が決定している.また,上述のWOCAL10での発表内容は,ワークショップのproceedingsの一部として,LLACAN/INALCOの定期刊行誌であるLinguistique et Langue Africainesの特集号(2023年刊行予定)に収録されることが決まっており,現在その刊行準備中である.
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」に述べたように,1年の事業期間の延長が認められたことから,2022年度も状況が許す限り本研究課題に関する補足的な現地調査,また研究成果の発信を行う.成果発信に関しては,2022年6月にマラウィで開催される第9回国際バントゥ諸語会議(9th International Conference on Bantu Languages)において,"Postnasal trilling in Bantu: cross-linguistic variation and typological overview" と題した発表を行うことが決定している. 上述のとおり,本研究課題による成果は当初計画を超えた形で発信されてきた.今後の研究推進方策としては,本研究課題の枠組みで構築した方法論を基盤として,対象言語数を補充し,また分析のスコープに含むパラメターの範囲も拡張する形で,より包括的な「パラメター駆動型バントゥ諸語類型論 (parameter-driven cross-Bantu typology)」を展開する,より規模の大きい国際共同研究を立ち上げるべく具体的な準備を進めている.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19のパンデミックによる渡航制限のため,本来計上していた旅費の支出を行いえなかったため.次年度使用額は,主には成果発信のための国際学会参加等のための海外出張旅費として支出する.
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