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2021 年度 実績報告書

印欧語史的形態論研究の最前線:動詞語幹形成母音の起源

研究課題

研究課題/領域番号 19K00571
研究機関京都産業大学

研究代表者

吉田 和彦  京都産業大学, 外国語学部, 教授 (90183699)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードヒッタイト語 / 歴史言語学 / 文献学 / 印欧祖語 / 古代アナトリア諸言語 / 粘土板
研究実績の概要

ヒッタイト語ならびにその周辺の古代アナトリア諸言語に関する文献学的研究は、近年めざましい発展を遂げている。量の面については、発掘されたヒッタイト語粘土板の数はこの30年のうちにほぼ倍になり、総数は現在約3万枚にのぼっている。質の面では、近年の文献学的研究の進展によって、粘土板に記録されたヒッタイト語が古期ヒッタイト語(紀元前1570―1450年)、中期ヒッタイト語(紀元前1450―1380年)、後期ヒッタイト語(紀元前1380―1220年)に時期区分されるようになった。これによって、体系的なヒッタイト歴史文法の構築が可能となった。このような研究状況を背景にして、本年度において以下の研究成果が得られた。
ヒッタイト語の直接引用を表す小辞-wa(r)が印欧祖語*werh1-tからどのように導かれるのか、その先史の解明を試みた。文献学的な立場からヒッタイト語内部の資料を詳細に調査・分析した結果、古期ヒッタイト語では語末位置の-waが語中の-wa(r)よりもはるかに生起数が大きいことが分かった。この結果に基づいて、語末の-waにふくまれる母音aは類推の作用を受けたものではなく、語末の*weが子音wの円唇性によって*-woになった後*oと*a が融合した結果、-waになったことを主張した。アナトリア祖語の母音*eがヒッタイト語でどのように変化したかという問題は非常に複雑であり、隣接子音からの影響も考慮しなければならない。
歴史言語学の研究者で、文献学の重要性をおろそかにする者はいない。本稿は、詳細な文献学的分析が言語史の正確な理解にいかに寄与するかを実証的に明らかにした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Some Diachronic Remarks on the Hittite enclitic particle -wa(r)2022

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiko Yoshida
    • 雑誌名

      Ha! Linguistic Studies in Honor of Mark R. Hale

      巻: 1 ページ: 413-422

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Hittite 3 pl. Preterites in -ar Revisited2021

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiko Yoshida
    • 雑誌名

      Lyuke wmer ra. Indo-European Studies in Honor of Georges-Jean Pinault

      巻: 1 ページ: 538-545

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ヒッタイト語における不規則な3人称複数過去語尾-ar2021

    • 著者名/発表者名
      吉田和彦
    • 雑誌名

      西南アジア研究

      巻: 93 ページ: 44-67

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ヒッタイト語の小辞-wa(r)の歴史言語学的考察2021

    • 著者名/発表者名
      吉田和彦
    • 雑誌名

      オリエント

      巻: 64-2 ページ: 133-146

    • 査読あり
  • [学会発表] Some Diachronic Remarks on the Hittite enclitic particle -war2021

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiko Yoshida
    • 学会等名
      The 40th East Coast Indo-European Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] 印欧祖語に再建される基本語順およびゲルマン語に生じた語順変化2021

    • 著者名/発表者名
      吉田和彦
    • 学会等名
      ことばの科学研究所令和3年度第7回研究会

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公開日: 2022-12-28  

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