研究課題/領域番号 |
19K00592
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
相良 啓子 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, プロジェクト研究員 (90748724)
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研究分担者 |
原 大介 豊田工業大学, 工学部, 教授 (00329822)
菊澤 律子 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 教授 (90272616)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 日本手話 / 台湾手話 / 韓国手話 / 手話言語学 / 音韻論 / 形態論 / 歴史言語学 / コーパス |
研究実績の概要 |
令和3年度は、Global Signbankに入力した日本手話203語、台湾手話180語、韓国手話119語のうち、数詞および親族表現のみに着目して分析を進めた。地域による表現の違い、形は同じだが各言語によって意味に違いがあるものについて記述し、意味の変化について分析した。分担研究者の菊澤および原と意見を交わし、形の変化と意味の変化について、音声言語と手話言語の共通する点、相違点について明らかにした。また、明らかになったことを「日本手話、台湾手話、韓国手話における語彙の記述とその歴史的変遷―数詞および親族表現に着目して-」のタイトルで、博士論文としてまとめた。博士論文では、形の変化と意味の変化の両方に言及した。他に、”Historical Relationships between Numeral Signs in Japanese Sign Language, South Korean Sign Language and Taiwan Sign Language”のタイトルで、英語での論文を書き、今年度中に「East Asian Sign Linguistics」の1章として書籍化される予定である。 一方、令和2度に続き、令和3度もコロナ禍において、フィールド調査を殆ど実施することができなかった。そのような中で、90歳の大阪の話者に、古い大阪の手話についてヒアリングをする機会が得られた。文献資料に記載してある古い大阪手話の「祖父」「祖母」の表現と同じものを話者が使っていることがわかり、資料とフィールド調査の表現が一致した。古い大阪手話では両手を使って表すが、現在の「祖父」「祖母」の表現は片手になっている。また、両手で表す「男」の表現がみられ、現韓国手話の「男」と形が同じであること、その意味も共通していることがわかった。現日本手話では、「男」は片手で表現するが、古い大阪手話では、文脈上、両手で表すこともあったのだろう。更なる追加調査が必要とされる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染拡大防止のため、国内、台湾、韓国におけるフィールドワークを実施することができずにいる。そのため、意味の変化を調査するにあたってのデータ収集を進めることができなかった。そのため、今まで収集したデータを基に、「形」の変化を中心として分析を深め、そこから意味の変化の調査につなげていけるように準備をしている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
Global Signbankに登録した語彙の音韻および形態の情報を追記し、言語学的特徴によってより細かい検索ができるようになるよう整えていく。また、フィールド調査の実施に向けて、データ収集の具体的な方法について検討する。これまで収集したデータから語彙の対象を絞り、各言語で共通して使われている語彙が、どのような文脈でどのように使われているのかについて分析したい。コロナが落ち着き、フィールド調査が実施できるようになれば、東京、大阪、台北、台南、ソウルでのデータ収集を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、フィールド調査ができず、旅費に当てることができなかった。令和4年度においては、秋以降、国内(東京および大阪)におけるデータ収集を開始し、コロナ感染状況が落ち着いてきた時点で、韓国および台湾でのデータ収集も検討し、そのための旅費および謝金に使用したいと考えている。
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備考 |
(1)は論文博士として受理されたものである。
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