研究課題
基盤研究(C)
ビデオ映像を用いた発話実験によって発話データおよびジェスチャーデータを収集し,言語表現およびジェスチャー表現の主体性/客体性を分析することにより,認知言語学における「言語表現が異なれば捉え方も異なる」というテーゼに反して,「言語表現が異なっていても捉え方が同じこともありえる」ことを示した.これにより,極端な相対主義を引き起こすことなく,認知言語学における深い意味分析のレベルを類型論に適用する見通しを示した.
言語学
認知言語学は,言語表現をもとに,その話者がどのように世界を理解しているのかを説明しようとする試みである一方で,類型論を視野に入れるとき,言語構造からその話者の認識まで規定することにつながる危険性も孕んでいる.本研究の結果は相対主義を避けながら類型論を志向するものである一方で,より一般的には,言語形式と意味の対応関係をどのように考えるのが適切なのかという問いにも及ぶものであり,さらなる実証的研究だけではなく,言語哲学にも開かれた成果となっている.