研究課題/領域番号 |
19K00610
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
大岩本 幸次 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (10336795)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 漢西字典 |
研究実績の概要 |
本研究は、清代(1636~1912年)に宣教師として中国に来ていたミゲル・ロカ(1661-1757年)の手になる漢語語彙集『Diccionario chino-espanol』(以下、『漢西字典』と称する)に着目し、該書に記される内容を精査したうえで、そこに反映されている編纂当時の言語状況はいかなるものであったと考えられるか、またこの資料は先行する字書資料からどのような影響を受けて編まれたか、といった欧州人の中国語受容史にも関わる問題について、一端を明らかにしようとするものである。 本年度については、前年度に引き続いて、『漢西字典』の内容と、趙廷俊(生没年未詳)という人物の編纂になる康煕52(1713)年成立の字典『Sinicorum Characterum Europea Exposito』(以下、『漢字西譯』と称する)の内容とを比較する作業を進めた。『漢字西譯』は、『漢西字典』の編纂に際して基盤とされたであろう資料の流れを、直接的あるいは間接的に受け継いでいるとみられる字典である。『漢西字典』中の誤りや不鮮明箇所などを修正する点においても有用な書であり、『漢西字典』の内容を深く考察する前段階として、『漢字西譯』を用いての『漢西字典』校訂は欠かせない作業と考えられる。また、上記の作業と並行して、『漢西字典』の内容を考える上で何らかの手掛かりを得られるのではないかと考え、17世紀に編纂されたとみられる『Dictionario Hispanico-Sinicum』に付記されている字音について初歩的な調査・検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
関連する他の資料について研究成果を公表したが、遠隔授業対応などに関係して当該年度において想定していたエフォートの割合が大幅に崩れてしまったこともあり、『漢西字典』それ自体についてはなお基礎調査の段階に止まっていて、成果として公開するには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
『漢西字典』について研究成果を公表できるよう、研究を推進していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国内調査について、新型コロナウイルス感染拡大の懸念から中止し、それに伴って旅費とコピー・撮影費用等の使途を失ったため。
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