研究課題/領域番号 |
19K00615
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
森 聡美 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 教授 (90305392)
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研究分担者 |
祐乗坊 由利 玉川大学, ELFセンター, 准教授 (80773465)
中野 悠稀 東京家政大学, グローバル教育センター, 特任講師 (70888297)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 日英バイリンガル / 国際バカロレア校 / ナラティヴ / トピック維持 / 物事の連結 / ナラティヴ構造 / 言語間相互作用 / 二言語習得 |
研究実績の概要 |
本研究は、国際バカロレアプログラムにて主に英語で主要教科を学び学外では日本語を使用する継続バイリンガル生徒の日本語と英語のナラティヴコーパスを構築し、談話能力の発達についてマクロ・ミクロ両視点から横断研究・縦断研究を行い、二言語領域別使用環境下における二言語習得の特徴を明らかにすることを目的としている。平成28年度に採択された「基盤研究(C)(一般)(課題番号:16K02701)」において申請者が同時バイリンガル児童を対象として行った調査項目・調査方法の一部を青年期の継続バイリンガルの言語分析に適用し、談話能力の代表的な指標である①トピック維持、②出来事の連結、③ナラティヴ構造において、バイリンガルと同等の発達段階にある各言語のモノリンガルとを比較し、二グループ間の相違について言語間相互作用の可能性も含めて分析し、更に長期的分析に基づき発達過程を明らかにする。 令和2年度においては、コロナ感染症拡大の影響を受け、進めてきたデータ収集計画の大幅な変更を余儀なくされ、オンラインによるデータ収集とデータの評価方法に加え被験者募集の方法を検討、改良を重ねてきた。その一方、上記課題で収集したデータを用いた①の分析について、本課題にも適用しうるものとして、量的分析に加え質的な分析手法を加えてきた。言語間相互作用を引き起こす主要因と言われている談話語用論的条件を明確化し、それらがバイリンガル話者とモノリンガル話者に与える影響の違いを明らかにする研究を進めてきている。 世界的にみても研究が進んでいない青年期バイリンガル生徒の談話能力の発達について、コロナ禍の環境下でも可能なデータ収集方法を開発したこと、更には質的な研究方法も開拓してきたことで、今後の研究の進展にむけての実践的かつ理論的に重要な基盤を作ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度は、申請書に記載した計画については遅れており、データ収集については令和3年度に進める予定である。条件を満たす学校に理解を得るところまでは進んだものの、コロナ感染拡大の影響で研究方法を大幅に変更せざるを得なかったことに加え、学校への依頼が難しくなったことから実施形態について検討を重ねるのに時間を有することになった。 分析については「基盤研究(C)(一般)(課題番号:16K02701)」で収集したデータについて、①トピック維持のコーディングと量的分析に加え、質的分析を進めてきた。令和2年7月、そして8月に発表を予定していた国際学会がそれぞれ令和3年度7月、8月に延期になり、これらに向けて準備を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は予定していたナラティヴデータ収集、書き起こしと分析を進めると共に、日本語、英語モノリンガルのデータの収集計画を遂行していく。研究課題については、上記①トピック維持、③ナラティヴ構造に関する分析も順次進めていく。 研究の発表については、主に研究成果を国際学会で複数回発表を重ねていき、得られたフィードバック等も踏まえて論文執筆を開始し、査読付き学術誌への投稿を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:1)データ収集が諸事情により予定通り進まなかったことにより、データ収集にかかる諸費用、参加者に支払う謝金や書き起こしやデータ分析に生じるRAへの支払いが生じなかったこと、2)発表予定だった国際学会が2件とも延期となったため、旅費の使用がなかったこと、が主な理由である。
使用計画:データ収集を進め、書き起こし、データ分析をRAに依頼し、研究を進める。また、データ収集のみならず打ち合わせや学会発表もオンラインとなり、PCの使用頻度が高くなり負荷がかかるため、新しいPCの購入に充てる
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